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Bill Evans Trio Consecration II (at Keystone Corner)

Bill Evans Trio Consecration II

Tiffany / My Foolish Heart / Days of Wine and Roses / Your Story / Turn Out the Stars / Like Someone in Love / My Romance

Bill Evans (p)
Marc Johnson (b)
Joe LaBarbera (ds)

Timeless Record CDSOL-46761

 久々にジャズを聞いております。まぁ、結構よく聞いてるんですけれどね。
 ビル・エヴァンス。どうなんでしょう。今更紹介するまでもないジャズ・ピアニスト、なんでしょうか。私がジャズを聞き始めた頃はそういう扱いでしたが、その時点で既に故人でした。なにしろ1980年に亡くなってます。まぁ、モダンジャズの話をすると、昔の人、早くに亡くなった人の録音を聞く、というのはごく当たり前の話でしたから、当時は違和感なかったんですが、今だとどうなんだろう。この「亡くなった人の録音を中心に聞く」というの、クラシック以上にジャズでは当たり前でしたからね。それも必ずしもノスタルジーとかでそうなってるってわけじゃないから、ある意味タチが悪い。

 などと憎まれ口を叩いておりますが、私は実はビル・エヴァンスは、まぁ、大好き。昔から結構聞いてます。ただ、よく聞いてるのは、御多聞に漏れず、例のヴィレッジ・ヴァンガード2部作と、実はこの1980年9月のライブなんですよね。
 この1980年9月、正確には8月31日から9月7日の間、エヴァンスはトリオでサンフランシスコに当時あったキーストーン・コーナーというクラブに出演していました。その後ニューヨークに戻り、9月9日からファット・チューズデイというクラブに出演したものの、その翌日を最後に病で弾けなくなり、9月15日に亡くなっています。この録音は、サンフランシスコでのキーストーン・コーナーでたまさか録音していたものをそのままライブ録音として出したもの。
 そういう経緯なので、出た時からグレーゾーン的な扱いになっていました。つまり、録音もクラブ備え付けのモニター用機材みたいなもので、ちゃんとした録音ではなく、なので録音されていることも認識されていたのかどうか、無論エヴァンスの死後に表に出て来たものなので、エヴァンスの承諾は得ていません。最初に出たのは、1990年頃、当時存在したアルファ・レコードというレーベルからで、確か2枚組。探せばどっかにある筈なのですが、その後、「完全版」とか言って6枚だか8枚だかの組物で出て、更に別のレーベルでコンプリートと称して出てた気もします。今世紀に入っても、何年か前に海外でConsecrationという名前で2枚か3枚かで出て、今回全3枚で限定盤とか銘打って出ているというわけ。「ヴィレッジ・ヴァンガード2部作」みたいな正規録音ではないので、出たり引っ込んだり、法的措置も曖昧で、薄いけどグレーな感じで存在している音源という感じです。

 まぁ、その辺は割とどうでもいいのですが、もう一つはそれ故か、出た当初からこの録音はあまりいい評価をされないのですね。録音が良くない、という説もあるけれど、なによりも「死の直前とあって決していい状態ではない」ということになってます。で、昔から、「そうか、そうなんだな、あまりいい演奏とは言えないのか」なんて思ってたのですけれども、最近はちょっと違う見方をするようになりました。
 確かに、亡くなる直前のライブで、伝えられるところでは、体調はなるほど最悪で、手も身体も浮腫んで、演奏出来るのが不思議なくらいだった、とのこと。ただ、後世に録音を聞くこちらとしては、その辺の周辺情報というのはあくまで情報に過ぎないわけで、じゃぁ実際どうなのかというと、言うほど悪い演奏とは思えないんですよね。
 確かに、かつてのビル・エヴァンスの、静謐な演奏を思うと、この演奏は粗いのかも知れないのだけれど、率直に言うと、別にそれほどひどくミスタッチしている訳でもないし、コード進行が通常運行でないと思うところも、そういうものとして聞く限りミスとも思えない(大体がモード奏法の誕生に関わってる訳ですからね、エヴァンスは)。展開が荒いのか?地口が多くてワンパターン?そうなのかも知れないけれど、でも、これが1980年にエヴァンスが選んだスタイル、と考えると、ドライブ感のあるこれはこれでいい演奏だと思うのですね。正直、何がそんなに「ベストじゃない」のかよくわからないのですよ。いや、実際のところ、こっちはクラシックが基本ですからね。あと数日の命で演奏してるなんて言ったら、バックハウスの最後の演奏会(演奏会中に心臓発作を起こして、プログラム変更して弾き切って、1週間後に他界)なんという大先輩がありますしね。それに比べたらエヴァンスの元気なこと(元気じゃなかったとは思いますが)、達者なこと!ミスタッチなんてポリーニだってやってるし、ねぇ。ジャズとクラシックは違う?じゃぁ何が具体的に違うの?

 この時期の演奏で好きなのは、エヴァンスが繰り返し何度も演奏したと言われるMy Romance。嘗てのローテンポでのバラード風の演奏に比べると、遥かにアップテンポで、これが同じ曲かと思うほどの展開なのですが、この時期のライブでは殆ど毎回演奏してたんじゃないかと思うくらいに演奏が残っていて、その都度微妙に違うんですね。勿論基本的なプランがあって、その上でどう弾くかというのを考えていたのだろうと思います。だから、全く違うアプローチ、展開になることはないのだけれど、それにしても、決して慣れてしまっていなかったのだと思います。実際、今だからこういうように言えますが、当時リアルタイムで追っかけてでもいない限りそうとは思わなかっただろうし、「この時期の演奏」とサラッと言ってますが、これ即ちこの キーストーン・コーナーズのライブに始まり、その直前のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブや、更にその前の各地で演奏した音源が後から色々発掘されて出てきた末に言っていられる話で(この内基本グレーでないのはヴィレッジ・ヴァンガードでのライブくらいじゃなかったろうか…)、この録音が最初に出た当初は、大抵の人は比べようもなかった訳です。その頃から「あまり良くない」と言われているのだけど、じゃぁ、どういうのだったら良かったのかな、具体的に何がどういけないって言うのかな、と、昔から思っているのです。
 いや、率直に言うと、あの「ワルツ・フォー・デビー」に入っている、スコット・ラファロとポール・モチアンとのMy Romanceよりも、私、こちらの方が演奏としては好きなんですよね。大味と言われれば大味なんだろうけれど、嘗てのリリカルで繊細と称される演奏は嫌いではないんだけれど、音楽としての生命力みたいなものが(無論当人はその生命力そのものが尽きようとしていたのだけれども)溢れているなぁと思ったりするのですね。
 いや、もっとシンプルに言うと、本心はいざ知らず、楽しそうなんですよ。これ。本当に。少なくとも聞いてる方にとっては。楽しい音楽かと言われると躊躇するけれど、聞いている限りでは「楽しそうだな」と思うんですよね。その一点だけでもこの時期の演奏は余計な物語抜きに評価されていいんじゃないかと思うのです。

グルベローヴァ as アデーレ in こうもり

J. Strauss Jr. "Die Fledermaus"

Adele : Edita Gruberova
Rosalinde : Adrianne Pieczonka
Gabriel von Eisenstein : Thomas Moser
Dr. Falke : Georg Tichy
Prinz Orlofsky : Carmen Oprisanu

Chor und Orchester der Ungarischen Staatsoper
Friedrich Haider (dirigent)

Nightingale Classics
NC 000058-2

 前回に続き、グルベローヴァです。しばらくぼつぼつとこんな感じで書いていこうかなと。

 グルベローヴァはCD時代の申し子、みたいなことをこの間書きました。それは間違いないと思うのだけれど、その割に、その名声に比して録音にあまり恵まれなかったというのもグルベローヴァだと思います。実の所、彼女の全盛期の1980年代後半から1990年代に掛けて、というのは、必ずしも「女王」グルベローヴァという時代ではなかったと思います。「コロラトューラの女王」ではあったけれど、決して絶対女王ではなかったのではないかと。というのも、この1990年前後というのは、グルベローヴァのレパートリーが圧倒的な支持を得ていた時代とは必ずしも言えなかったんですよね。
 1990年というのは、あの3大テノールが初めてローマで「3大テノールコンサート」を開いた年です。この頃のオペラのトップスターはあの三人。それもあって、興行的に人気があったのは、この三人が得意とするような、ヴェルディやプッチーニといった演目。録音もそういったものに集中する傾向があったのが1980年代。その一方で、1989年のモーツァルト没後200周年を控えてモーツァルトの諸作品の録音も進んでいましたが、結果、グルベローヴァを主役に据えての録音、というのは、あまり多くはなかったのですね。アーノンクールによる「魔笛」「ドン・ジョヴァンニ」「ルーチョ・シッラ」なんかはあったけれども、その他で主役を張ったのは1977年の「ルチア」、ショルティ盤での「後宮」、もう一つ「マリア・スチュアルダ」くらいだったのではないかと。「リゴレット」のジルダや「こうもり」のアデーレは、主役とは言い難いですしね.....

 それかあらぬか、グルベローヴァは自分のレーベル、ナイチンゲール・クラシックスを立ち上げて、自分の録音をそこから出すようになります。リサイタル盤に始まり、全曲盤として「シャモニーのリンダ」「テンダのベアトリーチェ」「セミラーミデ」なんかを出していきます。確かに、グルベローヴァの前にめぼしい録音はといえば、サザーランドが録音していたくらいではないか?といったところなので、そうした曲を録音するためには仕方なかったのかも知れません。実際、これらの録音は、概ね1990年代のグルベローヴァの実力の記録として素晴らしいものではあります。ただ、どうしようもない欠点が一つ。如何にも、他のキャストが弱いんですね。
 グルベローヴァが「テバルド」という端役で出演している正規録音の「ドン・カルロ」があります。指揮はカラヤン、オケはベルリン・フィル、外題役はカレーラス、他にフレーニ、カップッチッリ、バルツァ、ギャウロフ。超一流キャストです。そりゃグルベローヴァを聞くためのものではないのではあるけれど、それにしても、こういう豪華キャストが組めたのは、1970年代という時代もあるとはいえ、やはり企画力というものではあります。1990年代にこうした豪華キャストはもうなかなか望めなくはなっていたけれど、それにしても。
 グルベローヴァには、アーノンクールの指揮でロザリンデを歌ったものと、プレヴィン指揮でアデーレを歌ったものが他にあります。プレヴィン盤のロザリンデはキリ・テ・カナワ。オケはウィーン・フィル。この、ナイチンゲール盤は、ハンガリー国立歌劇場管に、指揮は夫君のハイダー。キャストでは、正直、「おお、この人か」という人は出ていません。
 有名どころを集めればそれでいいんだ、というものではないというのはよく知っているところではあります。でも、グルベローヴァが時の流れに従って歴史へと埋没していった時、この録音が「こうもり」の名盤として長く語り継がれるのか、といった時、どうなのかなぁ、と正直思うところはあるのです。既にプレヴィン盤がある中で、この歌唱は確かにいいのだけれども、もう一度この「こうもり」を、メジャーレーベルでは確かに録音出来なかったとは思います。実際、聞いてみてもこれ自体決して悪くないですしね。でも、そういう意味では、CD時代の申し子でありながら、CD時代に翻弄された人でもあったのかな、と思わなくもないのです。



グルベローヴァ追悼 : R.シュトラウス歌曲集

 Edita Gruberova - The Teldec Recordings
 Edita Gruberova (Soprano)
 Friedrich Haider (p) etc.

Teldec / Warner Classics 2564662047

 2021年10月18日、エディタ・グルベローヴァがチューリッヒの自宅で亡くなったそうです。享年74歳。

 もう何も言いようが無いのだけれども、敢えて言ってしまえばグルベローヴァがあっての自分の今であるので、喪失感は一入であります。2, 3年前に引退表明しているので、その意味ではもう聞けないと思ってはいたけれど、それにしても、今時74というのは早過ぎるし。
 好きな音楽家を一人だけ挙げろと言われたら躊躇なくグルベローヴァを挙げるのであって、それは恐らく今後も変わらないと思います。
 R.I.P.

 思えば、グルベローヴァという人は、CD時代の申し子みたいな人だったように思います。本格的に活動を始めたのは1970年頃、生まれたスロヴァキアのブラスティラヴァからウィーンに出てから。(ブラスティラヴァは本当にウィーンの郊外の衛星都市みたいなところなのです。30年くらい前に行った時はそうでした。)1980年頃には非常に大きな評判を取るようになり、ザルツブルクにも出ています。だから、録音もCD以前からあるのではあるけれど、グルベローヴァの程よく澄んだ声と超絶技巧のコロラトューラは、CDのクリアな音質のお陰で広く人口に膾炙したのではないかと思うのです。
 彼女の全盛期は、概ね1980年代後半だった、という説が広く言われていると思います。私が初めてオペラで聞いたのは1992年だったけれども、その時点にしてもう全く並ぶべき者無く、ただ、その中で「もうちょっと前はもっともっと凄かった」と言われていたものです。その後1990年代に広く活躍して、2000年代に入ると徐々に翳りが見え始めてきて、2010年代にはやはり衰えは隠せないといったところだったと思いますが、それでも、2000年代にはノルマに挑戦したり、2010年代も何度も来日しては衰えたりとはいえ、最早空前絶後とは言えない状態ではあるけれど、それでも並のソプラノでは到底聞かれないような歌唱を聞かせてくれていたものでした。
 ただ、録音としては、初期にはEMIに入れていたのが、その後テルデックに移り、1990年代後半には自らのレーベルであるナイチンゲール・レーベルを立ち上げて録音していたものでした。ただ、それものちには下火となり、最後はバイエルンベースのBRクラシックに録音していたので、主には4社を渡り歩いていたということになると思います。他にもちょぼちょぼあるんですけれどね。
 彼女の主要なコロラトューラ役の録音も、それぞれにあるのですが、一番いろいろ入れていたのがナイチンゲールで、ここが今はオフィシャルサイトも無くなってしまったような状態なので、まだ流通在庫は手に入ると思いますが、今後どうするのか悩ましいところです。この、「自分のレーベルを立ち上げてそこに録音する」というのも、時代だなぁと思います。2000年頃には、まだ、音楽配信という考え方は一般的ではなくて、パッケージソフトとしてのCD、あるいはその発展形が、そう簡単に消滅するとは皆思ってなかったんですよね.....
 そう、CDの隆盛と衰退と、軌を一にした人でもあったわけです。無論、時代的にそういう人は他にも沢山いる訳で、同時代の音楽家は多かれ少なかれそうなのだとは思うけれども、上述の通り歌唱の性質なども含めてやはりこの人は、と思わざるを得ないのです。まぁ、個人的には、むしろ、CDというメディアはグルベローヴァのためにあり、グルベローヴァの退場と共に役目を終えるのかも知れない、くらいに思っているのではありますがね。

 訃報を聞いてききたくなったのが、この録音。
 グルベローヴァといえば超絶技巧のコロラトューラということで、「狂乱の場」と題した若い頃のアルバムとか、「魔笛」の夜の女王のアリアとか、「後宮」のコンスタンツェとか、やはりそういうのを思い浮かべる方は多いのでしょう。実際、今入手できるこのパッケージには、そういうアリアの録音も入ってます。入ってますが、しかし、私がききたいと思ったのは、R.シュトラウスの歌曲集。かつては2枚組で発売されていました。ピアノは当時の夫君のフリードリヒ・ハイダー。
 グルベローヴァの魅力が超絶技巧のコロラトューラで、澄んだ声というのはその通りなのだけれども、晩年に至るまで、ほんの3年前まで日本にも来て歌っていられたのは、その根底にあるしっかりした幹にあったのだと思います。幹がしっかりしていたから、高音や超絶技巧が苦しくなっても、きちんとした歌が歌えていたのだと思います。そういう人が歌曲を歌えばいいに決まっていると思うのだけれども、グルベローヴァはあまり興味がなかったのか、歌曲の録音は決して多くないのですね。その中で、珍しくまとまって歌曲を歌ったのがこの録音。1990年頃の録音なので、かなり若い頃、全盛期に近い歌唱です。R.シュトラウスの歌曲なので、そこそこ技巧的ではありますが、超絶という訳ではないけれど、グルベローヴァの手に掛かると、実は難易度の高い歌たちが実に精妙に響いて....まぁ、極上です。
 もし何か一つ試しに聞いてみるというならば、よく知られている「献呈」(op.10-1)でもいいし、時節柄(笑)「万霊節」(op.10-8)なんかもいいかと思います。万霊節は、ハイダーのピアノもなかなかの聞き物です。





レコード屋の黄昏

 ま、何を今更という話ではあるのですが.......

 ほぼ1年ぶりの記事であります。その間にコロナはどうなったかといえば、去年の11月頃にはそこそこ落ち着いていたものが、年末頃から急激に拡大して、結果高低の波を繰り返しながら、オリンピック強行のタイミングで感染者数も最大化して....と、この一年、猖獗を極めておりました。今は予防接種も行き渡って落ち着いてはいるものの、どうせまた大変なことになるのでしょう。そんなに簡単な話ではないでしょう。

 そんな有様であるのもあって、経済というより街の姿が随分変わっているというのはあると思います。何も変わってないんだと思い込みたがる人はいるのでしょうが、現実には相当いろいろ「傷んでいる」のだと思います。コンビニや外食系の店が結構潰れたりしてね。まぁ、それも、現実には、環境の変化で業態が変わっているというべきなのかも知れず。もう一つは、そもそも状況が変わっていたのになんとなくきてしまったものが、こうなって馬脚を顕したと見るべきケースも少なくないような。

 渋谷のタワーレコード。以前は1フロアまるごとクラシックにあてていて、都内最大級の売り場だったのですが、暫く前にジャズと1フロアを分け合うように縮小されて、今月とうとう他のワールドミュージックなんかと一緒にワンフロアに押し込まれてしまいました。困ったことに、それでもまだ都内最大級かも知れないというのがね......

 20年くらい前だと、都内で言えば、渋谷のタワーレコードを筆頭に、渋谷にはHMV、新宿にはタワーレコードとHMV、ヴァージンもまだあったのかな?池袋にはHMVが東武に、西武にはまだWAVEがあった筈。20年前にはもう六本木のWAVEは無くなっていたと思いますが、秋葉原の石丸電気とヤマギワはまだあったと思います。有楽町にもHMV、銀座に行けば山野楽器.....渋谷の東急プラザや新宿三丁目にあったコタニとか、高田馬場のはなんて店だったか。新星堂があちこちにあって、新宿には基幹店があったけれど。渋谷にはFRISCO CLASSICALがあったけど、2000年頃にはもうなかったのかな。ディスクユニオンは渋谷にも新宿にもお茶の水にもあったけれど。
 今では、皆無くなってるか、縮小してるかですね。銀座の山野楽器ですら縮小してしまったし。
 まぁ、CDというパッケージ自体がもう衰勢を隠せないといったところなのでしょう。もう随分前から分かっていたことではあるけれど、いよいよ現実がここまでくると、流石に今後どうなってしまうのかなとは思います。録音物は増える一方ではあったけれど、それを一覧的に参照する場というのが縮小していって、ネット上でしかなくなってしまうと、少なくとも私のような古いタイプの人間には、ネットにあります、だけでは、ピンとこないんですよね。



Beethoven : Moonlight, Appassionata, Pathetique / Gould

Beethoven : Piano sonata
No.8 C mol op.13 "Pathetique"
No.14 Cis mol op.27-2 "Moonlight"
No.23 F mol op.57 "Appassionata"

Glenn Gould (piano)

Columbia MS7413 / SONY CLASSICAL 88697130942-35


 今更といえば今更ですが、グールドの全集ものをApple Musicに取り込んでいます。取り込みながら久々に改めて聞いたりしているのですが、今、グールドってどんな風に聞かれているんでしょうね。
 パッケージソフトで音楽を聴くのが当たり前、という人はどんどん減っているのでしょうけれど、パッケージソフトは一種のヒエラルキーに則って成立していた面もある訳で、そのヒエラルキーがどんどん溶解していって、というのは既に輸入CDが当たり前に入るようになってきた30年くらい前からあった話だけれど、今では一体どんな風に見えているんでしょうね。スーパーフラットどころか俯瞰することも叶わないのが今なのか、そういう中で、皆どういうところでどんな風に情報を得て、何を羅針盤にして音楽を聞いているのか、その中でグールドなんかはどんな風に見えていて、どんな風に聞かれているのでしょうね。単に私が時代に取り残されただけで、どこかではそんなこともなく活発にあれこれ情報交換が活発に行われていたりするのか.....よくわかんないな.......

 今更ながらグレン・グールドという話。改めて聞くと、グールドというのは確かに異形であったのだな、というのは分かるけれど、「これはグレン・グールドの演奏だ」と認識せずに、それこそスーパーーフラットで聞いたとして、どうなるのか。皆が言うほど感心するものなのかしら、ね。なんだこれは、って言い出す人も少なくないんじゃないだろうか。と同時に、このCDではないけれど、やはり全集の中に入ってる、op.109, 110, 111の最後のソナタの録音など聞くと、なるほどこの人は相当の手練れだったのだな、というのはとてもよくわかります。これだけ弾けるのなら、そりゃぁ、余程ヘンテコなレパートリーでも聞く人は少なくなかったろう、と思う程度には、高度な演奏だなと思います。
 一方で、こちらの、"悲愴" "月光" "熱情" の、いわゆる「三大ソナタ」の録音となると、どちらかというと異形な様が先に立つ感じ。これを書いている今は"熱情"の第2楽章を聞いていたけれど、いやそんなにゆっくりなの?と思うくらい。いちいちこちらの「常識」に引っ掛かるような演奏。でも、今時は、そういう演奏自体はそれほどずば抜けて異形というほどでなく、そのくらいの演奏は他にもあるよね、という程度かと。いや、それはそれでいいと思うんですけれどね。むしろ、グールドが(いや同じような異形の演奏を繰り広げた人々もなんだけれど)そうした"異形"のものを受け入れられるように切り開いてきた面もあるので、そういう意味では本末転倒なんですが。
 ただ、そうした「特殊なイロモノ」扱いであるが故に、敢えてそう言うなら、あれこれに「利用」されてきたグールドも、そろそろそうした視線から解放されて受容される時代、なのかも知れません。んなこともないか......?









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