白井光子/マーラー歌曲集(9/2)

Gustav Mahler Selected Songs
 Mitsuko Shirai (ms)
 Hartmut Hoell (p)
 Academy of St. Martin in the fields
 Sir Neville Marriner (conduct)
CAPRICCIO 10 712

 気が付くと、このblog、ここ最近声ものの比率がとても高いです。まぁ、元々オペラ好き、而してその原点はドイツリート、という私の場合、別に不思議でもなんでもないのですが。いや、そもそもblog自体間あいてるしなぁ。
 しかし、マーラーの歌曲集は続いてしまいました。

 マーラーというとやはり交響曲の人という印象が一般には強いでしょう。そもそもマーラーは作品としては交響曲と歌曲以外は殆ど作品がありません。そして、その歌曲自体、うっかりすると交響曲の習作ででもあるかのような見られ方さえされたりします。確かに、彼の交響曲には、歌曲からの引用が多い、というより歌曲の旋律を素材にして書かれたものが少なくないです。
 曲自体も歌謡性を強く感じさせるものが多いですね。構成や形式がも一つはっきりしない感じがむしろあって、コラージュのようだと評されることがあるのも、これが一因かも知れません。声楽の多用ということもあります。
 そんなことから、どうもマーラーの歌曲演奏にういては、交響曲の側に引っ張られている演奏が少なくありません。

 白井光子は、日本ではそれほど存在感は無く、公演も決して多くはないのですが、世界的なドイツ・リート歌いの一人です。夫君のピアニスト、ハルトムート・ヘルと多数の録音を残しております。もう結構なお歳の筈ですが、数年前聞いた時はよかったですよ。
 メゾソプラノですが、落ち着きがある声で、前に出るようなのとは違う華やかさがあります。

 で、マーラーの歌曲集ですが、1994年から1995年にかけての録音。全17曲中5曲を管弦楽伴奏で歌ってます。この5曲だけにマリナー指揮のアカデミー管を使う贅沢。でも、この贅沢が当たってるんですね。
 マリナー指揮アカデミー管でマーラー、という組み合わせはちょっと意外でしょう?マーラーというと、大編成のフルオーケストラで演奏するもの。音は分厚く、おもちゃ箱みたいにいろんな音が入ってて、そんなイメージでしょうか。アカデミー管の、透明度のあるオーケストラには合わないような。
 でも、これが合うのです。慎重に行われたろう選曲と相俟って、このオーケストラでの演奏には不自然なところは全くありません。オーケストラで伴奏されているのは、専ら、リュッケルトの詞による歌曲。これをアルバム全体に散らして、残りをハルトムート・ヘルのピアノ伴奏で。特に、オーケストラ伴奏もある「子供の不思議な角笛」をピアノ伴奏で録音しているのがいい。この「角笛」のオーケストラ版は、悪くは無いけど、ちょっととっ散らかっているんですよね。それこそフルオーケストラでやるもので、まぁ悪くは無いけど歌曲としては演出過剰に感じる面も無きにしも非ず。
 この組み合わせは見事です。全体に統一感があって、落差を感じさせない。

 いずれの曲も見事。最後の二曲、ピアノ伴奏での「美しいトランペットが鳴り響く所」(これはそれこそ交響曲に使われてたかな)と、最終曲、オーケストラ伴奏での「私はこの世に忘れられ」の綺麗なこと。特にこの曲、室内管クラスで繊細に演奏されると、本当にいいです。
 白井光子の安定した歌唱が、全編にわたって聞かれます。「浮世の生活」みたいな、ユーモラスで残酷な曲でも、過剰な表現に陥らず、音楽的に「聞ける」歌唱になってます。ドイツ・リート好きにはたまりません。




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