スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ジョージ・ロンドンの黒人霊歌集 (11/19)

George London ・ SPIRITUALS
 George London (bass-bariton)
 Singgemeinschaft Rudolf Lamy
 Members of theOrchestra of the Bavarian State Radio
 Rhythm Section, Carl Michalski (conduct)
Deutsche Grammophon 00289 477 6193

 ジョージ・ロンドン、これまた古い歌手を持ってきてしまいました。1920年生まれ、1960年代に活躍した歌手です。1985年没。勿論私は生で聞いたことなどありません。この録音は、1963年のものです。
 ロンドン自身はロシア移民の子としてアメリカで生まれたそうです。ロンドンというのがどういう謂れの苗字なのか分かりませんが、或いは移民してきた時にエリス島あたりで役人に適当に付けられちゃったのかも知れないなぁ、などと想像してみたりするのですが、実のところはよく分かりません......

 黒人霊歌。Spiritual とだけ綴られ、実際そのようにしか呼ばれませんが、現実に、今ではそうとは限らないにせよ、かつてはアメリカで、教会すら分けられていたような時代に(今でもある程度そうでしょうけど)、黒人達が教会で合唱していた彼らの「聖歌」です。だから、その歌詞にも、彼等の訛りが反映されてます。英語ではそう言わないけれど、「黒人霊歌」という表現は、多分に差別的かも知れませんが、結構実態を表しているとも言えるでしょう。
 ゴスペルのはしりでもあるわけですが、まだジャズやR&Bの要素が無い。強いて言えば、ブルースの和声進行が一部聞かれたりするくらいかな(ジェリコの戦いとか)。いや、むしろ、こうしたSpiritualsを母体の一つとして、ブルースやジャズが出て行った、と考えるべきかも知れません。

 そんな経緯もあって、実際にこれを歌うのは、多くの場合、合唱団である事が多いです。ソロだと、黒人系の歌手が殆ど。ジェシー・ノーマンとか、バーバラ・ヘンドリックスとか。キャスリーン・バトルも前に歌ってましたっけ。単発で有名曲を歌うケースはあるけど、まとめて歌うのは大抵こうした人達。
 で、ジョージ・ロンドン。何故ロシア系の彼が?と思うのですが、細かい経緯は知らず、CDのジャケットによれば、彼自身これら黒人霊歌を "their simple form, the rich imagery of their world of ideas, their inwardness and direct emotion" の故に好んでいたそうです。うん、まぁ、分からなくはない。実際、ヨーロッパでのリサイタルでは、黒人霊歌を幾つか歌って締めるというのを常にしていたそうです。

 聞く方の身からすると、なんというかあれですね、西部劇を見ていて音楽として付いてきそうな雰囲気があります。黒人霊歌に親和性が高い音楽の一つにフォスターの歌曲があるけど、あれをもっと泥臭くした感じ。白人が頑張ってそれらしく歌っているような。でも、いわゆる「霊歌」って感じでもないかな。この演奏が、オーケストラ伴奏であるのも理由の一つかも知れません。この中で、ピアノと多分弱音器付きのトランペット伴奏で歌っている曲があるのですが("I got to lie down")、これ、明らかにブルースしていて、この曲は結構異色に聞こえます。ブルース色たっぷりの「ジェリコの戦い」("Joshua fit de Battle of Jerico")よりももっと異色。
 まぁ、それを言えば、やはりロンドンの歌が、いわゆる「黒人霊歌」の声、歌じゃない、ということになるのでしょう。

 ところが、これまたCDのジャケットによると、ロンドンはこれらの歌は「シューベルトのリートのように」歌われるべきだ、と言っていたのだとか。まぁ、要は芸術歌曲として真剣に取り上げ、歌われるべきだ、ということなのでしょうが、確かにこの歌い方は「雰囲気を出してどうこう」という歌い方とは一線を画するものがあります。
 雰囲気は確かに「白人男性歌手が歌う西部劇の挿入歌」なんですね。オペラや歌曲とはやはり歌い方も違うし。でも、よく聞くと、とは言っても私に黒人霊歌の発音の問題なんて分かるわけないし、歌詞もよく知らないのではありますが、例えば、一曲目の"Swing low, sweet Chariot"でのこの句の繰り返しの処理など、確かにただ繰り返すというのとは違う。雰囲気で流すと言うようなことを決してしていない。ちゃんと歌っているんですね。歌詞も聞き取れる、というのは、まぁ訛っている筈の歌でいいのか悪いのか、という話はありますが、これがロンドンなりにきちんと歌った結果なのだと思います。
 黒人霊歌集、というより、ロンドンの歌を楽しむ録音、と言えましょうか。この人、意外とリサイタル様の録音が少ないので、なかなかええですよ。




スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

verdi

Author:verdi
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2ブックマーク
FC2カウンター
118,000アクセスくらい+
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。