Andre Previn and His Pals

"West Side Story" : Andre Previn and His Pals
 Andre Previn(piano)
 Red Mitchell(bass)
 Shelly Manne(drums)
CONTEMPORARY/ビクターエンターテインメント VICJ-41830

 アンドレ・プレヴィン。今じゃクラシック界の大御所然としておりますが、1950年代のプレヴィンはウェスト・コースト・ジャズの代表的ピアニストの一人だったのです。
 日本では、特に最近は、ブラック・ミュージックの隆盛もあって、ジャズと言えば「黒っぽく」なきゃ偽物、みたいな雰囲気もあるようで、だからウェスト・コースト・ジャズはもう一つ人気が無いようです。特に、プレヴィンとなると、後々クラシックに走ったことからの先入観もあってか、どうも色眼鏡で見られるような。後年、1980年代にテラークに改めてジャズの録音を残してますけど、そちらはもう一つだったと思うし。そんなこともあって、プレヴィンの録音はやや入手しにくめなのです。
 でも、これはプレヴィンのリーダー作ではないけれど、シェリー・マン名義で出された「マイ・フェア・レディ」のナンバーをフィーチャーしたアルバムは、名盤の一つと言って差し支えないと思います。
 コンテンポラリーレーベルには、他にも何作か録音を残してますが、いずれも似たような傾向の音楽で、楽しいです。ただ、以前もMJQか何かで書いたのだけど、ジャズに特有の「毒」というのは、洗練されている分やや薄いですけどね。
 この「ウェストサイド物語」のナンバーで構成されたアルバムは、存在は知っていたのだけど、あまり見掛けないのと、見掛けても輸入版で妙に高くて敬遠してたりしたため、結局聞けていなかったのですが、今回目出度く1枚千円の廉価盤で登場。で、聞いてみました。

 録音は1959年。曲目は以下の通り。
 1.Something's coming 2.Jet song 3.Tonight 4.I feel pretty 5.Gee, Officer Krupke! 6.Cool 7.Maria 8.America
 で、最初聞いての感想は.....「あれれ?いまいち」。
 ええとですね、私は、ウェストサイド物語は知っているけど、特別ファンというわけではありません。ただ、例えばカレーラスが、或いは3大テノールとして、「トゥナイト」とか「マリア」とか歌ってるのは聞いてるし、バーンスタイン指揮のヴィデオも見た。このミュージカルをあまり知らない人でも、この二曲や「アメリカ」くらいは知ってたりしますよね。
 そうすると、人情として、この二曲なんかにやっぱり期待してしまうわけですが.....これがもう一つ。盛り上がらないんですね。「トゥナイト」は、スローにしっとりとメロディラインをピアノソロがワンコーラス弾き切って始まる。その後で、トリオによる展開に入るのだけど、歌い上げるというより軽やかに演奏して、もう一度ピアノのしっとりとした演奏で締める。「マリア」も、こちらは全編完全なスローバラードとして扱ってるし。それはそれで悪くないけど..................
 「アメリカ」にしても、いきなりコード進行を逆行させて始まるし。後で御馴染みのフレーズは出てくるので、この曲が一番期待に近いかも知れませんが.....どうかなぁ。

 でも、これは、プレヴィンと愉快な仲間たち(いや、でも、"and His Pals" って、多分そういうノリでないかいなと....)の演奏が悪いかというと、そうとも言えないんですね、きっと。我々は、テノール歌手がフル・オーケストラをバックに、盛大に盛り上げて歌う「トゥナイト」や「マリア」をよく知っている。でも、この録音は1959年。ミュージカルの初演が1957年で、映画が封切られたのは1961年。バーンスタイン編曲による「シンフォニック・ダンス」の初演が1960年。
 つまり、プレヴィンと愉快な仲間たちは、ミュージカルとして大当たりを取った「ウェストサイド」は知っていても、映画化されて全世界で評判を取った「ウェストサイド」はまだ知らない。だから、「トゥナイト」や「マリア」が、"あんな"歌われ方をするのも知らない。"最近大当たりの話題のミュージカルナンバーを取り上げてアルバムを作った"、ということ。

 そうやって聞くと、こちらの先入観で期待して聞くとつまらなくなるんだな、というのがよく分かります。演奏が悪いのではなくて、構成が「トゥナイト」と「マリア」がクライマックス、じゃないわけです。冒頭の "Something's coming" や4曲目の "I feel pretty" のドライブ感は、この元々軽やかさが身上のこのトリオらしい気持ちのいいものだし、そうした中で「バラード担当」として選ばれたのが「トゥナイト」であり「マリア」である、という風に聞くと、納得出来る。むしろ、フル・オーケストラで朗々と歌い上げるに足るメロディを持つこの二曲を、しっとり聞かせる曲に持ってきた、と考えれば、慧眼と評してもいいのかも知れません。

 まぁ、でも、こちらの期待値ってものもあるんだけど................(苦笑)

 プレヴィンのピアノは、確かに上手ですよ。フレーズの引き出しも沢山あるし、表現力もある。まずそんな録音出てこないだろうけど、ライブではどんな演奏してたんでしょうね。気になります。




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