[ラ・フォル・ジュルネ] ムソルグスキー:展覧会の絵

M.ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」 ラヴェル編曲オーケストラ版/ピアノ版
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(conduct)
 ラザール・ベルマン(piano)
Deutsche Grammophon/ユニバーサル クラシック UCCG-5051

 [ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2007「民族のハーモニー」のサイトはこちら]

 ラ・フォル・ジュルネ関連では、前回はチャイコフスキーを取り上げましたが、今回は同じロシアでも対極的なムソルグスキーを取り上げます。
 ムソルグスキーは、いわゆるロシア「5人組」の一人で、軍人や官吏を副業(?)としながら作曲を続けた人です。ある意味5人の中で一番素人っぽいのに人生破綻度もNo.1、一番天才肌だった人のようです。
 オペラを書かせればロシア史に題材を取った、数あるオペラの中でも最も重厚にして充実度の高い作品、「ボリス・ゴドゥノフ」や「ホヴァンシチーナ」を遺し、更には天下の傑作、鬼気迫る「死の歌と踊り」を書き、その作風には「5人組」仲間に見られるエキゾチズムは感じられず、ましてや西欧指向もあまり感じられない。何せ交響曲は一曲も無し、秀作のようなものを除けば、ソナタ形式の器楽曲や室内楽曲は皆無、という人です。
 ところが、そういう人でありながら、西欧でのこの人の影響というのは存外大きいと見られているのだから、面白い話ではあります。影響度という意味では、むしろチャイコフスキーより大きいのかも知れません。

 そのムソルグスキーの代表作のように言われるのが、この「展覧会の絵」ですが、これがまた微妙な話でして。通常、「展覧会の絵」というと管弦楽曲を思い浮かべる方が多いのでしょうが、幾つかある管弦楽曲版はいずれもオリジナルではなく、このCDでも演奏されているラヴェル編曲のように、誰か他の人の手による編曲版なのです。元はピアノ曲。

 でも、確かにオリジナルの「展覧会の絵」は以前はあまり聞かれてはいませんでした。20年位前、ピアノ版というと演奏としてはアシュケナージ、リヒテル、ホロヴィッツ、このベルマンの演奏などが知られるくらいで、生演奏で聞く機会はあまりなかったのではないかと思います。でも、ベルマンのは手に入らなかったんですが.....
 今では多くのピアニストが、特に若手のピアニストがこの曲をレパートリーとしていて、最近ではリサイタルの演目を見ると必ずこの曲が入ってるんじゃないか?と言いたくなるくらいに多いんだとか。まぁそこまでは大袈裟でしょうけど。今は、ロシア系や東欧・北欧系の若手ピアニストが多くて、彼らがレパートリーに入れやすいというのもあるのかも知れません。
 一方では、この曲自体も見直されているというのもあると思います。元々管弦楽版のおかげでよく知られた有名曲にして人気曲。テクニックも結構必要な曲ですし、様々な性格の曲の吹き寄せみたいな組曲ですから弾く方は大変だけど聞く方には楽しいし、演奏者に上手く合う曲があれば聞かせ所にもなる。格別かっちりした楽曲形式で出来上がってるわけでもないので、演奏者にとっては表現上の自由度も意外とある。しかも、後半に向かっては盛り上がって行くという楽しみがある。前半、プロムナードを中心に、「展覧会で絵を見るの図」で進んでいた楽曲が、気が付けば「カタコンブ」あたりから絵の情景の中に入り込んでしまっている。そして、不気味な「ババ・ヤーガ」を経て、壮麗な「キエフの大門」に圧倒される。この後半の構成も天才的で、演奏効果抜群。
 その上、全曲で3~40分ほどの曲なので、コンサートのプログラムにも中心曲として組み入れやすい手頃さがあります。

 なので、今は録音も多いこの曲ですが、このベルマンのは、存在は知っていたけれど、なかなか入手機会がなかったもの。今回目出度く千円盤で出たので買っておりました。リストなどでいい録音を残しているピアニストですから、期待が持てます。
 ......が、実は、思い焦がれたほどには「素晴らしい!」って演奏とは.....(^^; 悪くないんですが、初めの方はちょっと気が入ってないような感じで。演奏が進んで行くにつれ、段々と盛り上がって参りますが、最近の若手ピアニストあたりだと、もっとテクニカルに見事に弾いてくれるかな、という気がします。
 そうは言っても、後半に向かってのスケールの大きさは流石です。キエフの大門など、お見事。

 ちなみにカップリングはカラヤン指揮ベルリン・フィル。んー、自分はあんまり管弦楽曲版は思い入れが無いのであれですが、まぁ、よろしいんじゃないかと。この曲は、やはり上手いオーケストラで聞いてこそ楽しいですしね。



AUTHOR: Niklaus Vogel URL: http://yaplog.jp/niklausvogel/ DATE: 03/09/2007 02:25:20 Verdiさん、こんばんは!
私はなかなかピアノ版による「展覧会の絵」が好きになれない時期がありました。ホロヴィッツやアシュケナージなどの録音を聞いていましたが、どうしてもオーケストラ版の色彩には及ばないという思いが隠せませんでした。
ところが、このベルマン盤と出会うことによって(もう20年くらい前のことですけれども)、やっとこの原曲のすばらしさを知りました。
最初のプロムナードからして寂寥感が漂い、キエフの門にいたって、「ああ、そうか、これはムソルグスキーの無二の親友を亡くして書いた曲ではないか!」と思ったのです。
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