[ラ・フォル・ジュルネ] ラヴェル:亡き王女の為のパヴァーヌ (3/16)

M. Ravel : The complete solo piano music
 Angela Hewitt (piano)
Hyperion CDA67341/2


 [ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2007「民族のハーモニー」のサイトはこちら]

 うう、5日間ほったらかしでした........ちと忙しかった..............
 通勤の行き帰りに、家でも、結構色々聞いてはいるのですが、どうもblog書きまでは忙しくて辿り着きませんでした。ある意味中途半端な忙しさ。もっと忙しければ1週間でも2週間でも放置して平気なのですが........って、そんな忙しいのはいや~..."""( ;><)ノ

 前回の「展覧会の絵」繋がりでは無いですが、ラヴェルです。今回のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの目玉作曲家の一人でもあります。ドビュッシーと並んでフランス音楽印象派の双璧を為す重鎮。ですが、この人、ドビュッシーとは随分違った作風の作曲家でもあります。
 私がクラシックを聞き始めた頃、ガイドブックとしていた本に、諸井誠の書いた「ピアノ曲100」みたいな本がありました。交響曲版の同じシリーズも随分参考にしましたが、正直圧倒的に「ピアノ」の影響が大なのです。その中でラヴェルを評して「幾つもの仮面を被った作曲家」というような形で紹介していたのが、私のラヴェルのイメージ形成の端緒です。でも、この論、言われれば確かに当たっているのです。
 ピアノ曲集「鏡」では、如何にも印象派風の曲("蛾" "悲しき鳥たち")と、極めて写実的な曲("道化師の朝の歌""鐘の谷")が同居していたり、かと思えば古典組曲の形式を借りて、偉大なる先輩と戦場に散った友人知人らに捧げる「クープランの墓」を書いたり、古典派形式に名を借りたソナチネを作曲し、その何れでもない「夜のガスパール」を発表し...........極め付けは全曲ほぼ同じ旋律の延々とした繰り返しの「ボレロ」に、奇怪なるウィンナ・ワルツへのオマージュ「ラ・ヴァルス」。オペラを書かせれば今晩妻が楽しく浮気する話(「スペインの時」)に悪戯っ子が悪戯していた動物や玩具達に復讐される話(「子供と魔法」)。
 フランス奇人変人作曲家は数々居りますが、多様性で言えばラヴェルは頭抜けていると思います。そんな人だけに、何処に本心を見出せるのか分からないところがある。ある意味最も現代的なのかも知れません。

 ラヴェルという人は、現代的なだけあって、実はシニシズムをかなり抱え持った人でもあります。人気曲「ボレロ」は言うまでも無いですが、この曲に関する逸話として、初演の際にある女性が「狂ってるわ!こんな曲を思いつくなんてどうかしてるのよ!」と言ったのを伝え聞いて「その人はよく分かったんだ」と真顔で答えた、というのがあります。同じフランス近代の作曲家では、サティのシニシズムも有名ですが、サティのがある意味本気で"全力で"シニシズムを貫いたのに対し、ラヴェルのは、素でシニカルな感じがします。本当のシニシズム。底が知れません。
 「亡き王女の為のパヴァーヌ」は、非常に美しい名曲として親しまれていて、「亡き王女」についてはルーヴルだかにあるスペインの王女の絵に由来していて、などという話もあるそうですが、実は単なる言葉遊びで付けただけではないのか?という説もあるのです。(Pavane pour une infante defunte 私は発音出来ませんが、字面からして韻を踏んでいるのは明らかですよね)
 ラヴェル自身はこの曲を後に管弦楽版に編曲したりしていて、決して評価していないわけではないのでしょうが、意味のある標題音楽のような顔をして、実は絶対音楽としてこういう曲を書いているのか、と思うと、ちょっと怯んでしまうものがあります。そう思って聞くと、結構緊張感を感じさせる曲。緩やかなように見えて、実は張り詰めた線が一本通っている。
 ラヴェルはピアノ独奏曲なら丁度CD2枚分くらいで全集が作れるので、全曲録音する人も多いし、この曲をロマンチックに聞かせてしまう人は少なくないのですが、やっぱりそれではちょっとね。リサイタルでのアンコールにでも弾くのなら、まぁそういうのもありでしょうが。

 ラヴェルの演奏は、サンソン・フランソワが好きなのですが、この間書いたばかりだし、やはり古いので、ここは現代の名匠、アンジェラ・ヒューイットを。(フランソワの時も引き合いに出したけど)
 アンヌ・ケフェレックの演奏もあるので、ラ・フォル・ジュルネならそっちを紹介するのが筋と言えなくも無いですが、まぁ正直言ってヒューイットの演奏が素晴らしい。ヒューイットのは美しいけれど何処かシニカルな筋が入っていて、いい演奏なのだけれどちょっと落ち着かない気分になります。私の好きなラヴェルの曲は「クープランの墓」のメヌエット。ここでのヒューイットはそれでもやっぱり冷静で、そのへんが私をフランソワに走らせるのだけれど、この曲の最後の数小節、言わば仮面を付け続けたラヴェルがついうっかりその素顔を垣間見せてしまった(ように見せているだけかも知れないけれど)数小節でのヒューイットの表情はフランソワとは異なれど秀逸なのです。
 これが21世紀のラヴェル、でしょうか。もう一つ評価が定まるようで定まらないヒューイット、このラヴェルの演奏も微妙な立ち位置に居ますが、なかなか捨て難い演奏であります。

 [サンソン・フランソワのラヴェル]




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