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ヘルマン・プライ:シューベルト歌曲集 (3/19)

「音楽に寄せて」さまざまな詩人による シューベルト歌曲集II
 ヘルマン・プライ (bariton)
 レナード・ホカンソン (piano)
PHILIPS/ポリグラム PHCP-3714


 いろいろ書くことがあって、昨日もシューベルトのピアノ・ソナタを書こう、とか決めたのに、突然全然違うものを書き始めてしまうのでした。でもまぁ、「今日車で聞いたものblog」だから、仕方ないですね。わはははははは(^O^) <いいのか?

 エルンスト・ヘフリガーが亡くなったそうです。ドイツ系のテノール歌手。もう80を超えておられたので、仕方ないといえば仕方ないかも知れません。
 ヘフリガーは、私は、聞こうと思えば間に合ってる筈の歌手なのですが、残念なことに、どうも聞いた覚えがありません。バッハのカンタータなどでお馴染みで、スイスのClavesからシューベルトの歌曲の録音を出していました。最近では、1991年にカザルスホールで行われたリサイタルのライブ盤(冬の旅)が再発されたりもしています。ただ、個人的には、彼の歌い口はあまり好みではなかったのと、最近再発されたものは、決して悪くないのだけれど傷もあって(最も感銘を受けたのはアンコールの "夕映えに" Im Abendroth, カメラータトウキョウ CMCD-15068)ちょっと敬遠気味なのでした。勿体無いことをしたのかも知れません。

 という今夜、車で帰宅途中に、ラジオで、ナタリー・シュトゥッツマンの、昨年の日本でのリサイタル録音を放送していました。シューベルト・プログラムだったようで、白鳥の歌の後半と、ミューズの子、鱒をアンコールで歌ったのを聞けました。
 うーん................................
 シュトゥッツマン。嫌いじゃありません。彼女の録音したシューマンは、とても素晴らしい。でも、シュトゥッツマンは、表現力、いや、表現する為の技術が多彩に過ぎるのですね、ちょっとだけ。シューベルトにしては。
 シューベルトがそれ以前の作曲家は勿論、それ以後の作曲家と比しても決定的に違うのが、メロディメーカーとしての才能と、アレンジャーとしての才能です。シューベルトの歌曲の伴奏は、概ねシンプルです。芸が無いのではない。ただ、あれこれとくっつけずに、ど真ん中を突いてくるのです。だから、下手に技を繰り出すと、ごちゃごちゃして却って折角のシンプルなメロディとシンプルな伴奏を台無しにしてしまう。「単純」ではないのです。シンプル。
 後期の、伴奏がより雄弁になった時期の作品でも、後のシューマンのそれとは全く違います。シューマンが、例えば「詩人の恋」の最終曲の後奏で、かなり長い独立した演奏をピアノに与えているのに比べれば、「美しき水車屋の娘」や「冬の旅」でのそれは、単なる歌そのもののフレーズの短い繰り返しに過ぎません。それでいて雄弁さは変わらない。
 シュトゥッツマンは、「歌ってしまう」人なのだろうと思うのです。彼女のシューベルトがダメなわけではない。それはそれで素晴らしいのだけれど、シューベルトとしてはちょっと「歌い過ぎ」に感じたのです。或いはライブだから、ということもあるのかもしれないけれど。そんな風にしなくても、自然に歌えばいいんだ、と。しかし、それで勝負することは、時に、歌手にとっては極めて過酷な勝負にもなりえます。表現の多彩な人に「あまり表現を過剰にしちゃダメだよ」というのは結構むごい話ですからね。

 で、家に帰ってきて、聞き直したのがヘルマン・プライなのであります。フィッシャー=ディースカウがドイツ歌曲を歌うために生まれて来た人だとするなら、プライは「うた」を歌う為に生まれて来た人、ではないかなと思います。そして、この「うた」に近いところにシューベルトの歌曲、特にその中の幾つかはあるように思います。
 そのプライのシューベルトの中でも、これは秀逸。どうも海外でも影が薄いのですが、実に勿体無い。日本語タイトルは素っ気無いですが、ドイツ語では Die schoensten Schubert-Lieder となっています。schoensten。最も美しい、んだそうです。歌が、でしょうけれど、プライの歌もschoenstenです。
 冒頭3曲だけでもう十分。「楽に寄す」 An die Musik D.547b、「鱒」 Die Forelle D.550d、「君は我が憩い」 Du bist die Ruh D.776。シューベルトの歌曲の中でも1,2を争う名曲揃いです。これを聞いただけで、ああ、いいものを聞いたな、と思う。
 ところが、この後に控える「きけ、きけ、ひばりを」 D.889といったら!跳躍するような伴奏に乗って"Horch, Horch!" と歌いだすプライの声の、なんと暖かく明るいことか!或いは、その更に先にある、「シルヴィアに」D.891や「笑いと涙」D.777の軽やかなこと。
 この録音は1973年。まだ若いプライが歌うこのシューベルトを、正直に言って私は知りません。私が聞いたのは本当に晩年に近く、その時のプライも素晴らしかったけれど、でも、やはりこんな風に弾けるようなものではなかった。本当に、こんな風に歌える人は、咄嗟に思いつきません。シュトゥッツマンはもとより、今の若手のどの歌手を考えてみても、ちょっとこんな風には歌えない。いや、ディースカウだって無理だったろう。技術ではなくて、本当に、天才的と言っていい、プライだけの「うた」なのです。
 勿論、この録音には、それだけでなくて、例えば「さすらい人」や「さすらい人の月に寄せる」、「十字軍」といった歌もあるのですが、やはりここでは先に挙げたような曲を聴いてしまうのです。
 伴奏はレナード・ホカンソン。惜しむらくは最良とは思えないのだけれど、でも、この時のプライにはマッチしていたのだと思います。

 来年はプライが亡くなって10年。そろそろこの辺で集大成を作って貰えないものでしょうかねぇ.........................大抵持ってるつもりですが、全集出たら買っちゃうだろうな。




AUTHOR: 吉田 URL: http://beethoven.blog.shinobi.jp/ DATE: 03/21/2007 18:40:28 こんばんは。
シュトゥッツマンの放送、聴きました。すごく起伏の大きなシューベルトで、なかなか楽しませてくれました。試合巧者という感じです。
プライのシューベルトはいいですね。ふくよかなボリュームがあって、声だけで勝負できる人でありました。
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