[ラ・フォル・ジュルネ] ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

A.Dvorak : Concerto for Cello in B-moll op.104, etc.
(Les Introuvables de Jaqueline Du Pre)

 Jaqueline Du Pre (cello)
 Chicago Symphony Orchestra
 Daniel Barenboim (conduct), etc
EMI CLASSICS 7243 5 68132 2 9

[ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2007「民族のハーモニー」のサイトはこちら]

 ドヴォルザークは、恐らくは人気の面でも10指に入る作曲家でしょう。いい曲は沢山あるのですが、どれにしようか考えて、結局ここに落ち着きました。

 ガーシュインはさしずめアメリカ代表作曲家、というところですが、20世紀に入るまでは、アメリカにはあまり名の知れた作曲家がいません。そもそもが植民地として始まった北米は、アメリカ合衆国として独立して後も、クラシック音楽を支える基盤となってきた、貴族社会は勿論、経済的余裕のある市民社会というものがなかなか発達しません。裕福な人は時々出るけれど、オーケストラを維持するようなものにはならないし、次々やってくる移民の大半は貧しい人々でしたから。
 それでもまぁなんとかかんとかやってきて、南北戦争の内乱危機も乗り越えて、やっと社会が安定しつつあった北米に音楽院が開かれて、そこに招聘されたのが他でもないドヴォルザーク。この機会にアメリカに渡ったドヴォルザークは、音楽院での仕事と共に幾つかの作品を書きますが、これまた名曲揃いで。
 皆様御存知交響曲第9番「新世界より」、弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」、そしてチェロ協奏曲。世間一般的なドヴォルザーク像は、これだけあれば7割方出来上がってしまうかも知れません。

 ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、チェロ協奏曲というカテゴリーでも、屈指の名曲です。元々、ピアノやヴァイオリンに較べると数は多くないのですが、その中でも一頭抜きん出ている感があります。ロマン派以降ではなかなか太刀打ち出来る曲がありません。エルガーとディーリアスは結構頑張ってるけど............
 第1楽章、序奏から主題の提示まで一通りオーケストラが演奏して、さてとばかりに徐に入って来るチェロの独奏のかっこいいこと(笑) 同じ旋律を弾いているだけなのに...... とにかく、これでもかというくらいにチェロが情熱的に歌うこの曲、チェリストの腕と趣味が正直に出てしまいます。

 で、今回起用したのがジャクリーヌ・デュ・プレ。あまりにも使い古された「夭折」という言葉が似合う人であります。本当は、難病を患ってから長年演奏も出来ず苦しい闘病生活を送った方ではありますが、それでもやはり「夭折」と言いたいのであります。
 デュ・プレについては映画にもされたりし、その中でもエルガーの協奏曲(これも悲劇的な面のあるドラマティックな曲ですが)が取り上げられていたようですが、このドヴォルザークも素晴らしい出来です。デュ・プレの演奏は一言で言えば「達者」ですね。「上手い」とか「巧い」というのとは違って、技術力の上に更に質感とかそんなものが加わっている。雄弁さも、しなやかさもあり、表情も豊か。圧倒的というのとは違う、けれどこの演奏には抗えない、そんな感じです。
 ドヴォルザークの「歌」にあっては、まるでヴァイオリンのように繊細に歌います。でも力強い。デュ・プレの録音を聞いていると、どうしてこの人が後年病に斃れたと信じられようか、とつい思ってしまうのですが、そう思わせるだけの輝かしさとおおらかさがよく感じられる、そういう演奏です。
 この曲は名盤揃いで、名だたるチェリストの殆どが弾いているのではと思うほどですが、その中でも未だ捨て難い名演奏の一つでしょう。

 ちなみに、このCD、"Les Introuvables de Jacqueline Du Pre"、大方「知られざるジャクリーヌ・デュ・プレ」とでもいうようなタイトルの6枚組アルバムですが、エルガーあり、ディーリアスあり、シューマンにバッハにベートーヴェンあり、と、本当に「知られざる」って訳でいいのかな?とつい思ってしまうような曲が沢山入ってます。



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