ヘルマン・プライ「美しき水車屋の娘」 (4/7)

シューベルト : 歌曲集「美しき水車小屋の娘」 D.795
 ヘルマン・プライ (bariton)
 カール・エンゲル (piano)
TELDEC/ワーナー WPCS-22049

 このところ忙しかったりでエントリーが少ないのですが、車の中でCDはちゃんと聞いています。例によって声楽ばっかり。久々の歌曲の時が来たって感じなのです。「Verdi」の癖になんだ?!ってな話もありますが、正直言うと、ハンドルこそ Verdi なんて名乗ってはいますが、元々私のオリジナルの得意分野はドイツ歌曲。じゃぁなんで Verdi なんだ?というと、それには10年以上も前にハンドルを決める時の諸々の経緯というものがありまして........平たくいやぁ「シューベルト」じゃ長過ぎるし締まらないんでね、てな理由でして。
 そもそもが最初に買ったレコードは「冬の旅」だったんですから、後は推して知るべし。器楽ものではチャイコフスキーのピアノ協奏曲こそ最初に買ったけれど、2枚目は弦楽四重奏でしたし。スメタナSQの「アメリカ」と「ひばり」のカップリング。で、その時点で既にホッターだのシュワルツコップだのディースカウだのと聞いてましたし。交響曲とかは徹底的に避けて通ってました。一般的なクラシックへの入り方とは明らかに違いますよね。

 というわけで反応が無くともひたすら暴走するのであります。

 で、またしてもシューベルト。またしてもプライ。好きだから仕方ありません。
 懐かしいCDです。このCD自体は数年前のものですが、それ以前から、それこそ15年くらいは聞いている録音です。比較的いい音質の録音ですが、ちょっと距離感のある感じです。特にピアノが。或いは、古い録音、という印象かも知れません。
 しかしまぁそういうことはともかくとして、「ヘルマン・プライ」なのです。永遠の青年などと言われたプライですが、この録音の時は42歳くらい。今の自分と同じような歳です。でも、声は若々しい。永遠の青年の称号、むべなるかな。
 プライの声は、確かにバリトンなのですが、いわゆる「バリトンの声」という印象ではないんですよね。テノールにありがちな甘さを備えていて、柔らかい。後年までその柔らかさはあまり失われなかったのが、「永遠の青年」と呼ばれた理由の一つでしょう。
 加えて、表情が自然で豊かなのです。恐らくは、そう一生懸命表情付けしているわけではないのだと思います。ただ、豊かな声で歌われる中に、ごく自然に表情が付いたように感じられる、というところではないかと。だから尚更自然体に感じられるのでしょうか。この自然体、というのもまた、プライの歌の特質の一つでしょう。

 プライの水車屋の録音も幾つかありますが、個人的にはこの録音、その中では最良と言っていいのではないかと思います。勿論、複数あるそれぞれに素晴らしいのですが、この録音には、そんなプライでも尚「時の利」を得た、と感じるものがあります。歌手として、その声が最も充実していた時期でしょう。十分な余裕のある歌唱で、たとえば14曲目の「狩人」や15曲目の「妬みと誇り」での速いパッセージへの対応、或いは18曲目の「しぼめる花」でのフォルテの部分など、全く破綻の気配すら感じさせない。いや、意外とこういうところでふらついてしまうのは多いのですけどね。
 何より、歌が綺麗なのです。声も綺麗だけれど、その声で歌われる歌自体の美しさも損なわずに見事に歌っている。あんまり綺麗過ぎて、最後の19曲目、20曲目など、実に悲しくも哀れな歌であることをつい忘れてしまいそうなほど。この表現、歌い回しが出来るだけの歌唱力が十二分にあった、そういう時期だったのでしょう。
 歌唱内容は申し分無し。水車屋の決定版の一つに挙げたいくらいです。

 伴奏はカール・エンゲル。コンサート・ピアニストとしても十分実力者ですが、何故か歌曲の伴奏も多い人です。こちらもプライの歌唱に寄り添った、自然な演奏をしています。よく聞くと、プライは結構派手なリタルダントとかしていて、うっかりするとそれが見えてしまうところ、見事なコントロールでそれとは気付かないようにサポート出来ています。





AUTHOR: 吉田 URL: http://beethoven.blog.shinobi.jp/ DATE: 04/08/2007 22:39:07 こんばんは。
バリトンで歌う「水車の小屋の娘」では、プライのものを一番気にいっています。他のバリトンをさほど聴いているわけではありませんが。
この曲、彼が最後(?)に来日したときに歌いましたね。この公演のチケットを買ったにもかかわらず、急な用ができて行けなかった苦い思い出があります。もうひとつの「冬の旅」は聴くことができたのですが。
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