スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

シューベルト「白鳥の歌」その他」:ギュラ (4/20)

F.Schubert "Schwanengesang" (und AusgewaehlteLieder nach Goethe)
 Werner Guera (tenor)
 Christoph Berner (piano)
Harmonia Mundi HMC901931


 先週末に大阪へ遠征してからこっち、忙しくてまるでエントリーがありませんでした。

 ウェルナー・ギュラはミュンヘン出身のテノールです。95年にはゼンパー・オパーに出るようになり、その時点でフランクフルトとバーゼルのオペラに出ていたそうですから、そろそろ若手というカテゴリーから抜け出すくらいのところだと思います。
 主にHarmonia Mundiに録音していて、既に「水車屋」、「詩人の恋」、その他にヴォルフのメーリケ歌曲集などのCDが出ています。この「白鳥の歌」は最近の録音で、2006年5月のもの。

 これまでにも「詩人の恋」など聞いてはいたのですが、正直言うとこちらの注意力も散漫だったか、「最近出てきているリート歌手の一人」程度の認識しかありませんでした。それでも一応新しいリートの録音があれば聞いてみたくなるのは人情で、聞いてみたわけですが、これがなかなか良いのです。

 「白鳥の歌」は、元々が寄せ集めの歌曲集で、つまり、レルシュタープの詩による歌曲7曲、ハイネの詩による歌曲6曲、それにザイドルの詩「鳩の遣い」の1曲、計14曲よりなります。レルシュタープを陽とすればハイネは陰、最後にアンコールのように置かれるザイドル、とまぁ大体こんな構成です。
 正直言うと陰陽それぞれに立ち現れる歌を整理して違和感無く聞かせるのは存外難しいのですが、ギュラは、そこのところを上手く捌いて違和感無く聞かせてくれます。

 この、ギュラの歌唱についての印象を一言で表すならば、「明晰な歌唱」と言えるかと思います。
 元々がテノール歌手ですから、バリトン歌手の歌唱よりは明るめに聞こえるのはありますが、それ以上に、ギュラの歌唱は明晰なのです。テノールでも、高い声が出る/出ないに関係なく、官能性が前面に出てしまう - それがいけないわけではありません - 歌手は多いですが、ギュラの場合、そういう官能性が無いわけではないけれど、それ以前に、明晰に音楽を聞かせる、詩を聞かせる歌唱なのです。
 確かにこういう歌唱は、ここ10年ばかりの間に台頭してきたドイツ・リート歌い達の間に見られなくもない傾向ではあるけれど、この「歌が見える」という感じの明晰さはギュラ独自のものではないかと思います。

 その明晰さが、この「白鳥の歌」全体に於ける「捌き」に関係しているのは間違いないと思います。
 この歌曲集で難しいのは一般にはハイネの方で、どちらかというと陽にあたるレルシュタープの各曲に比べると、ハイネのそれは単に陰というだけでなく、内容的にもある種難解なものが多いのです。難解なように聞こえてしまう。例えば、"Die Stadt"、「市」「町」という曲。海上を舟で往きつつ霧の向こうに見える町を見やる。後半で、恋を失ってその町を離れる際の情景を歌っていることが分かるのですが、元々そういう曲なので、それをそのままに行ってしまうと、おどろおどろしく始まって終わり。曲としては何やら重いなぁ、という感じで違和感だけを残して終わってしまう。ハイネの詩による歌曲の最後、「影法師」もそれに近い。
 ギュラの歌唱は良くも悪くもきちんと聞こえるのです。陰の中に埋没してしまうには明晰すぎる。だから、「町」でも「影法師」でも、よくコントロールされた歌唱で、音楽としてきちんと把握出来る。だから、何やらよく分からないがおどろおどろしい、というようなことにはならない。
 全体に、こういう明晰さが通底しているので、聞いている方にとっては分かりやすいし、緊張感も持続されるのです。こういう歌い方は、フィッシャー=ディースカウのそれに通じるものがあるかも知れません。だから、現代のドイツ・リート歌唱の伝統からすれば正統的なのかも知れません、或いは。





TITLE: ギュラ:シューベルト「美しき水車屋の娘」 (12/7) URL: http://www.doblog.com/weblog/myblog/27955/2613763#2613763 IP: BLOG NAME: Verdiのレコード置き場 今日車で聴いたものblog DATE: 12/08/2007 10:02:30 F.Schubert : Die Schoene Muellerin op.25 D.795  Werner Guera (tenor)  Jan Schultsz (piano)  Harmonia Mundi HMA1951708 [関連したBlog]  ギュラの歌う「白鳥の歌」については、
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

verdi

Author:verdi
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2ブックマーク
FC2カウンター
118,000アクセスくらい+
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。