スゥェーデンの現代声楽曲 (6/3)

SWEDISH CONTEMPORARY VOCAL MUSIC Vol.3
 The ERIC ERICSON CHAMBER CHOIR
 Eric Ericson (conduct)
PHONO SUECIA PSCD 44

 こないだのラ・フォル・ジュルネでかなり衝撃的だったのが、アクサントゥス合唱団による北欧合唱曲の公演。曲もいいけど、アンサンブルが素晴らしい。特に衝撃だったのが、最後に歌われたヒルボリ作曲「ムウヲオアヱエユイユエアオウム」。歌詞というより様々な母音を使ってハミングで構成された曲ですが、声明のようにそれぞれから歌われる声が交唱しあって不思議な透明感のある響きで、まるで夏の夜の昆虫の鳴き交わすような音楽。これが面白かった。
 アクセントゥス、「合唱」としての精度の高さも凄いのだけれど、人の声でこんな複雑なことをやってしまうのが凄いなぁ、と。よく釣られないなー、と、割と低レベル(笑)な感心の仕方をしていたりするのですが、この曲はまるで人間シンセサイザーのようで、本当に人間業ではなかった。
 で、ここ最近、合唱の魅力を再発見しつつ、この曲のCDないかなー、と思って探しあぐねていたのですが、ようやく見つけたのがこのCDです。

 エリク・エリクソンは「合唱の神様」、合唱指揮者として有名ですが、そのエリクソンが1945年に結成したのがエリク・エリクソン室内合唱団だそうです。結構歴史があるのですね。てか、エリクソンて1918年生まれなのですね。うわぁ。

 ここで取り上げられているのはスゥェーデンの現代作曲家の合唱作品で、全部で5人、6曲が選ばれています。
 お目当てのヒルボリ作曲の「ムウヲ....」は3曲目。既に書いたように、CDで聞いてもやっぱりシンセサイザーのようで、咄嗟に「え?これ、人の声?」とか思ってしまいます。でも、このCD、全編現代の合唱曲で、そのせいもあって、それほど違和感はありません。うん。面白い。
 現代音楽、それほど好きではないですが、こういう合唱曲は面白いですねぇ。やはり人の声だと違和感にも限界があるのか、特に合唱だとどうしてもハーモニーがあってのことになるので、聞きやすいのかも知れません。それと、北欧というのは合唱が盛んな土地のようで、こうした曲が沢山書かれているようです。バルト3国も同様に現代作品の重要な産地になっているようですが、北欧の方がいいかな?
 そういえば、北欧はシベリウスのように20世紀でも結構活躍した作曲家が出ているのと、大陸本土の音楽の進み方とは少し違った歴史を持っているようで、元々「現代音楽」の発展の仕方が少し違っているのかも知れませんね。

 いずれの曲もなかなか面白いです。5曲目、JENNEFELTの "O, Domine" は、ラテン語のレクイエムの歌詞に作曲された、一種の小レクイエム。途中切れ目無しに演奏される8分足らずの小品で、勿論典礼音楽としては使えないのですが、独特の雰囲気のある作品です。曲としては、2曲目のJ.SANDSTROEMの「二つの日本の風景」でしょうか。北斎の日本画に触発された作品だそうですが、そういうこととは別にそこはかとない静かな哀しみを秘めたような曲調がいいですね。北斎の画で、こういう哀調を帯びたものってあったかな?どうだろ?

 演奏は勿論素晴らしい。アクサントゥスを聞いた時も思ったのですが、やはり日本での合唱のイメージと、北欧あたりのトップレベルの合唱団のやってることとでは、相当の差があります。声自体がとても綺麗で、よくコントロールされていて、沢山の声部に分かれた複雑な曲でも対応出来る。オペラの合唱なんてせいぜい4部ですからね。複雑だけど、綺麗です。曲も、演奏も。
 結局は伝統と地力の差なのでしょうね。なんだかんだ言っても、教会での礼拝を基点にした合唱の経験と伝統が大きいと思います。個々人がそういうこととあまり関わりを持たなくても、何かにつけてそういうものに触れ、或いはそういう場で演奏する必要が、社会の中での合唱の地力をもたらしていて、こういう非キリスト教的音楽をやるのにもアドバンテージを与えているのだと思います。




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