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エルガー:チェロ協奏曲 (6/10)

Sir E.Elgar : Cello Concerto op.85
(Les Introuvables de Jaqueline Du Pre)
 Jaqueline Du Pre (cello)
 London Symphony Orchestra
 Sir John Barbirolli (conduct), etc
EMI CLASSICS 7243 5 68132 2 9

 エルガー繋がりであります。
 ジャクリーヌ・デュ・プレのこのセットは、先日もドヴォルザークのチェロ協奏曲でエントリーさせましたが。今回はエルガーの協奏曲です。
 デュ・プレに関しては、「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」という映画がありましたが、その中でも取り上げられていたのがエルガーの協奏曲。とても印象的な、悲劇的で情熱的な一節が取り上げられていました。
 でも、本当はこの曲、劇的一辺倒ではなくて、むしろ「嘆きの歌」とでも言いたくなる様な曲でもあります。

 第1楽章はチェロの独奏から入りますが、この長いレチタティーヴォに対し、オーケストラはあまり表に立って来ません。むしろチェロによって奏でられる嘆きの後、最後近くになって、あのオーケストラの全奏による一節が、しかし一度だけ奏でられて、そして第1楽章はおしまい。
 第2楽章は不思議な感じのパッセージの積み重ねで、最初レントからアレグロ・モルトへ移行して、ちょっと聞くと明るい感じ。うっかりするとこれで終わりかな?と感じるような曲ですが、終結部も軽く、期待を裏切って第3楽章のアダージョへ。諦念の情を感じさせる嘆きを秘めつつ、それはあくまで秘めたままに、叙情的な歌を歌うチェロ独奏。本当に、この曲、オーケストラが引っ込んでるんですよね。チェロにその分期待が掛かる曲。
 第4楽章は、最初は最終楽章に相応しく劇的な始まり方ながら気がつけばまたしてもチェロ独奏による悲しげな歌が印象的。結局、全編にわたって、協奏曲らしい規模の大きさよりも、チェロ独奏が主役という以上に前面に出た曲なのですね。チェロとオーケストラの為のソナタ、と言いたくなるような曲。それを協奏曲と言うんでしょう?と言えば、その通りなんだけど。

 エルガーは生年1857年ですが、この曲が書かれたのは1918年。この年は、第1次大戦の終わった年です。エルガー61歳。生年から想像されるように、エルガーはやはり19世紀の人なのですね。
 この曲は、エルガーにとってのレクイエムだ、という見方があります。それまで自分を取り巻いていた世界が崩壊するのを目の当たりにした悲劇。空爆なども受けつつも、結局は自国の領土内では戦いの無かった英国にとって、戦争によってそれまでの世界や価値観が崩壊していくという感覚は、直接戦火の傍にあり、しかも敗戦国となったドイツ人らに較べて、まだしも余裕がある分より一層観念的に迫ってきたのではないかな、と思います。この曲に、多くの管弦楽曲に感じられるようなカタルシスはあまり感じられません。取り返しのつかない、失われたものの不在、という感覚がどこかにあるような気がします。
 ただ、この後、エルガーは「時代遅れの作曲家」と見なされます。「のだめ」なんかには、「これが俺の音楽だ、という心意気がある」みたいな言い方をしていて、まぁそういう側面もあるのかも知れないのだけれど、この曲を聞くにつけ、エルガー自身もう書く気が失せてしまったのかな、と個人的には思います。
 このチェロ協奏曲の半年後、エルガーは妻を亡くします。その後も創作活動が無いわけではなかったけれど、半ば隠遁、とまでは行かずとも活動の程度も鈍ったままに、16年後の1934年に亡くなります。彼にとっては、様変わりしてしまった世界で、もうかつてのようにある意味で希望を湛えた音楽を書くことは出来なかったのではないかな、と思うのです。その意味では、ナイーヴと言われても仕方ないのかも知れません。でも、こういう音楽を書いてしまった後に、自分の世界がすっかり変わってしまったと感じている人に、それはちょっと酷なのかな、とも思うのであります。

 このCDには、その後にディーリアスのチェロ協奏曲が収められています。ディーリアスも「英国人」には結構人気の作曲家です。まぁ、実際、聞けば結構いいなぁ、と思います。その話も又今度かな。



AUTHOR: mozart1889 URL: http://www.doblog.com/weblog/myblog/41717 DATE: 06/17/2007 07:37:47 Verdiさん、おはようございます。
ジャクリーヌ・デュ・プレのBOXセット、僕も持っています。この人の、その後の人生を知っているせいか、聴くたびに哀しくなるような演奏が多いです。
この人、もう少し長く生きたかっただろうと、もう少し長く演奏したかっただろうと、つくづく思います。
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