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エレーヌ・グリモー:ベートーヴェンのピアノソナタop.109&111 (6/17)

L.v.Beethoven : Piano Concerto No.4 / Piano sonata op.109 & op.110
 Helene Grimaud (piano)
 New York Philharmonic
 Kurt Masur (conduct)
TELDEC 3984-26869-2

 協奏曲を収録したCDでは、時々、独奏者の演奏による独奏曲の録音をカップリングしていることがあります。ピアノ協奏曲なんかでは、独奏曲の録音もしやすいのか、目にすることが少なくありません。まぁ、カップリングというより埋め草と呼んだ方が実態を表しているかも知れません。
 普通はその手の収録曲は、メインの協奏曲より短くて、おまけに入れましたっていうのが多いんですけど、たまに、そっちの方が魅力的だったりすることもあります。

 で、このカップリングなんですけど.....まぁ、一般的にどうなのか知りませんが、個人的には、ベートーヴェンのピアノ・ソナタで最後の3曲というのは稀代の名曲だと思ってまして、正直言えばピアノ協奏曲よりよっぽど興味があるという..... ホントは一番大好きなのはop.111のソナタなのですが、前2曲も嫌いじゃない、というよりむしろ好きだし。
 いや、協奏曲の4番もいい曲ですよ、確かに。<一応フォロー

 エレーヌ・グリモー、ライナーノートによると現在37歳になりますが、正直この人とベートーヴェンの最後のソナタ群とは、俄かには繋がりませんでした。だって、なんとなくイメージ的にはリリカルで..............
 あ、でも、リリカルというのはベートーヴェンには合うなぁ。ショパンって感じかな?ベートーヴェンの、リリカルだけど構築的な音楽のイメージとはなんとなく違うように思っていたのですけどね。
 ですが、実際聞いてみて、納得。というより、グリモーという人の音楽のイメージがそもそも間違っているのでしょうね。協奏曲の演奏からして、もう既に「リリカル~」というのとは違う。けどまぁ、今日書きたいのは取り敢えずはピアノ・ソナタの方なので。

 ありきたりの表現ですが、空から光の降ってくるが如きアルペッジョ(のような楽節)で幕開けるop.109。この3曲の怖さは、気を抜くとこういう見掛けの自由さ故につい構成感とかが疎かになってしまうこと。気持ちよく曲の流れに委ねてしまうと、気が付けばぐずぐずに....... そういば、このop.109とop.110で共通して使われている速度表示(の一部)があります。それは、"ma non troppo"、「~し過ぎないように」。op.109の場合は第1楽章が"Vivace ma non troppo"、「快活に、でもやり過ぎないように」。こんな綺麗でそのまま走りたくなるような曲書いておいて、鬼ですね、鬼。でも、このほどほど感のバランスがある面ではこの3曲の肝かも知れません。

 グリモーのは、バランスの取れた知情意揃ったいい演奏、と言いたいのですが、よく聞くとちょっと違う。いやむしろ危なっかしいバランスの上でなんとかやってる感じじゃないのこれは?グリモー、演奏しながら呻いてるというか喘いでるし、確かによく弾けているけど、決して知情意揃ったという感じではない。ともすれば情念が暴走しそうなのを知を用いて音楽の構成の中に矯めようとする、強烈な意思の力。うーん、なんとなくそんな感じでしょうか?
 軽々と演奏しているわけではない。けれど、力が不足している風でもない。むしろ、なんとかこの自分の音楽を、ある型式の中になんとか納めて統御しようとしているのか。剣気が抑えられない、てな感じですかね。
 Vivace ma non toroppo。グリモー、フラストレーション溜まるんでしょうねぇ。
 op.110の最終楽章は、これまたAllegro ma non troppo という表記がありますが、ここではフーガが出てきます。このフーガを弾くグリモーのピアノの楽そうなこと!普通この辺は硬く聞こえてしまう、もうちょっと正確に言うとそれまでの演奏より急に硬く感じられてしまう演奏が多いのですが、グリモーのは却って闊達になったように感じられます。フーガというはっきりした形式に統御されるから、かえって楽なのかな、と思ったりします。

 私はグリモーってこういう演奏をする人とは思っていませんでした。意外です。もし、美形女流ピアニスト、くらいにしか思ってない方が居られるなら、是非この録音を聞かれてみては如何かと。結構名の通ったピアニストでも、このへんのソナタとなると「?」な演奏だったり、そもそも弾いてなかったりしますからね。

 惜しむらくはop.111が無いこと。聞いてみたいですねぇ。あの最終楽章の長大なアリエッタとどんな風に切り結ぶんでしょうねぇ。



AUTHOR: Niklaus Vogel URL: http://yaplog.jp/niklausvogel/ DATE: 06/17/2007 22:45:17 Verdiさん、こんばんは! 苦手なエルガー(ごめんなさい!)が終わり、やっとコメントできます(笑)。

容姿は抜きにしても、最近グリモーの録音を贔屓にするになりました。(オヤジ化現象?)

> いやむしろ危なっかしいバランスの上でなんとかやってる感じじゃないのこれは?

このピアニストの近年の特徴としては、敢えて危険な状態を自ら作り、その上で音楽を築こうとしているのだと思います。

グリモーの魅力に開眼したのはここ数年のことですが、しばらく経ってから気づきました… 「このピアニスト、デビュー当時にブラームスのソナタをDENONに録音していた人じゃない!」

15年くらい前に2回ぐらい聞いて、あまり感心せずに放置していました(笑)。 顔つきがすっかり変わって気づきませんでした。

否、顔つきだけでなくピアニストとしてもだいぶ変わったと思います。
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