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高橋アキ plays Contemporaly Beetles Music (8/22)

"ゴールデン・スランバー" ベスト・オブ・ハイパーミュージック from レノン&マッカートニー
 高橋アキ (piano)
東芝EMI TOCE55238

 思うに、コアなクラシック音楽ファンというのは、クラシック音楽を構造で聞いているんじゃないかという気がします。これは自分も含めての話で、少なくとも日本人の場合は、と言ってもいいですけれども。
 一般に、歌謡曲とか聞く場合、大抵はメロディを追いますよね。でも、コアなクラシックファンの場合、どうも、音楽の構造を聞いているように思うのです。例えば和音であったり、リズムであったり、主題の展開であったり、そうした音楽を形造る要素を音楽の中から見出して聞いているように思うのです。もっと言えば、そうした要素の差異、変遷を聞いているのではないかと。このメロディが気持ちいい、という聞き方をしないではないけれど、同時にそのメロディがどのように対比され、補強され、変化させられていくかをやっぱり聞いていると思います。それが、いわゆるクラシック音楽のクラシック音楽たる所以なのかと。
 それを一番手っ取り早く追体験(?)出来るのがラヴェルの「ボレロ」でしょう。あの、分かり易くそこそこキャッチーではあるけれど、繰り返し聞き続ければ流石に飽きて来るメロディを、次から次へと楽器を変えて加えて演奏する。その変遷を聞くのがこの曲の面白みである訳です。

 ロック、というより今で言えばポップスを聞く場合もやはり同様なんだと思うのです。一般にはメロディであったり歌詞であったり、まぁ歌謡曲よりは構造的ではあるけれど、やっぱり「構造を聞く」わけではないのだろうなと思うのです。
 でも、この種の音楽の楽しみはメロディをどう演奏するか、その場その場で、構造的にというより即興的にどう面白く演奏するか、にあると思うので、それはそれでいいわけです。

 で。この、構造至上主義(別に悪い意味ではないのですが)がいわゆるクラシック音楽の根底にある以上、クラシックの音楽家も、こういう音楽のやり方を基本に持っている筈です。そうすると、この種の人達が、ポップスを演奏すると、なんとも野暮ったくなってしまったりするわけです。例えば、ビル・エヴァンスの愛奏したスタンダードを演奏したりすると、確かに和声進行が面白かったりするのですが、どうにも中途半端になるのです。有り体に言えば、つまらないんですよね。構造的なことをちょっとやってみても、元のメロディを聞かせようとする以上、でもそれが普通にただ演奏されるだけでは、気の抜けたビールみたいなもんで......
 勿論、それはビートルズ・ナンバーでも同じこと。

 じゃぁどうすれば面白くなるか?要は、クラシック音楽のフィールドに無理矢理連れ込んでクラシック音楽にしてしまえばいいのです。というわけで、強引にクラシック音楽にしてしまった、まぁ正確には現代音楽にしてしまって、「ビートルズを題材にした構造的な音楽」を造ってしまったのがこのCD。なんちゅう無茶な(笑)というか、これぞ真にオタク的というか。

 とすれば、さしずめ高橋アキはゲンダイオンガク腐女子といったところでありまして。そもそも、このアルバムは、高橋アキが自ら東西の現代音楽作曲家らに、「ビートルズナンバーを題材にしたピアノ曲を作って下さい」と委嘱して書かせた作品を弾いている物で、オリジナルではCD4枚のアルバムが出来ているそうで。で、その中からいわばベスト盤を作成したのがこのアルバム。
 いや、作曲家陣は錚々たるメンバーでして。日本人も結構居ますが、武満もいるしケージもいる。ケージですよケージ。あんなのにビートルズナンバーで一曲書かせるとは、恐るべし高橋アキ。で、バリバリの現代音楽家達が書いてますから、もう音楽構造はバッチリです。中でもケージの書いた曲はこのアルバムの白眉と言っていいでしょう。題して「ザ・ビートルズ1962-1970」。まぁ、一種のメドレーですが、断片的にいろんな曲が同時並行的に演奏されるという、一体どうやっているのやら。凄いです。音楽としては、ちょっとアンディ・ウォーホール - キャンベルのスープ缶を書いて作品としたりしたあの人 - やロイ・リキテンシュタインを思い起こさせる、でもこっちはもっと破綻してるな、という感じ。
 この前後を、武満徹のゴールデン・スランバーと西村朗のビコーズが大人しめに固めるあたりが面白いですかね。後は、マールテン・アルテナの「スナップショット(ハロー・グッバイ)」が、全然ハロー・グッバイが聞こえて来ないという、構造主義の面目躍如的な音楽で面白い。良くも悪くも、「クラシック音楽をやる」ってこういうことなのね、と得心出来るCDであります。
 いやまぁ、そういう風に考えなくても面白いですけどね。

 ちなみに、この中に、三枝成彰、羽田健太郎、坂本龍一の作品も入っているのだけど、この3人の作品を聞くと、ああ、この人達ってやっぱり本当は現代音楽の人ではないんだな、と思ってしまいます。構造がポップス的。羽田健太郎はそれでいいんだけど、三枝と坂本が如何にもゲンダイオンガク風に頑張っちゃうのは、まぁ気持ちは分かるけど。




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