Mahler

G.Mahler : Kindertotenlieder / Lieder eines fahrenden Gesellen /
Fuenf lieder nach F.Rueckert(*) / Vier lieder aus "Die Knaben Wunderhorn" (#)

 Siegfried Lorenz (bariton)
 Gewandhausorchester Leipzig / Kurt Masur (conduct)
 Berliner Sinfonie-Orchester / Guenter Herbig (conduct)(*)
 Staatskapelle Berlin / Otmar Suitner (conduct)(#)
 BERLIN Classics 0185872BC

 マーラーは、管弦楽伴奏歌曲を結構書いています。さすらう若人の歌、亡き子を偲ぶ歌、子供の不思議な角笛、その他に特に連作とせずに書かれているものなど。その中でも、実はあまり聞く機会が多くないのが、亡き子を偲ぶ歌です。
 録音数など見ると、決して少ない訳ではないのですが、実演があまり多くは無いのではないかなと。まぁ、内容的にも躊躇してしまう面はあると思いますし。日本語では「亡き子を偲ぶ歌」としていて、それは内容的には間違いではないけれど、原題は"Kindertotenlieder"、直訳すれば「子供の死の歌」。ちょっとざらりとした感じがあります。録音では、キャスリーン・フェリアーのものが名高いですが、本当は詩の内容的には父親なので、男声で歌われるのが本筋です。
 この曲、リュッケルトの詩に作曲したものですが、この曲には逸話があります。これを作曲した当時、マーラーは娘を設けていましたが、妻のアルマ・マーラーによれば、幸せに暮らしている家族がいながら、どうしてこうも不吉な歌を書けるものか、悪い予感がする、と厭がったそうです。事実、この数年後にこの夫婦は娘を亡くします。まぁ、アルマの回想がどこまで本当かは分かりませんし、エキセントリックな人であるのも事実ではありますが、気持ちは分かります。

 実際、この曲はかなり、なんというか、心の肌触り(?)の悪い曲だと思います。詩そのものからして、のっけから昨夜我が子を失ったという情景から入りますから、もう既に救い様がないのですが、第一曲、哀し気な木管の独奏が寂寥感をいや増すのです。以下、第5曲だけは感情の激しさを反映するかのような嵐の描写から、あたかも救いを齎すかのような平穏な音楽へと収斂して行きますが、そこまでは、基本的に不協和音を交えたざらついた喪失感に満ちた音楽です。いや、正直、これはしんどいですよ。
 さすらう若人の歌と比べると、より直接的な感情の起伏に満ちた「さすらう若人」とは随分違います。こちらでは、最終曲、菩提樹の下での眠りに救いを見出しつつ、最後は和声の解決を見ないままに中途半端に終わらせたマーラーも、さすがに「亡き子」では、和声解決を図って、最後は救いを感じさせて終わらせています。失恋は洒落にもなるが、子供を亡くすのは洒落にならない、ってことでしょうかね。

 歌うはジークフリート・ローレンツ。管弦楽はクルト・マズア指揮するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管。旧ドイツ・シャルプラッテンの流れを汲むBERLIN Classicsらしい一枚です。ローレンツの録音はなかなか宜しいです。あまり芝居っ気の強くない録音ですが、こういうのも悪くない。元々マーラーの歌曲は身振りも大きいし、歌によっては、時々シニカルに過ぎてどう落としていいのか分からなくなることもあるくらいですから、却って抑え気味に歌われるのもいいように思います。
 ここでは、「亡き子を偲ぶ歌」の他に、「さすらう若人の歌」、リュッケルトの詩による5つの歌曲、加えて「子供の不思議な角笛」から4曲が収録されています。リュッケルト歌曲は歌曲集の世界とは少々違って、言ってみれば耽美派の世界でありましょうか。より贅肉を削ぎ落とした感じで、歌曲としては、こちらの方が完成度は高いと言うべきなのかな?ちなみにこちらは、ベルリン交響楽団、指揮はギュンター・ヘルビッヒ。




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