ギュラ:シューベルト「美しき水車屋の娘」 (12/7)

F.Schubert : Die Schoene Muellerin op.25 D.795
 Werner Guera (tenor)
 Jan Schultsz (piano)
 Harmonia Mundi HMA1951708

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 ギュラの歌う「白鳥の歌」については、この春に記事にしたことがあります。「白鳥の歌」や「詩人の恋」は聞いていたけれど、これは聞けていませんでした。最近、廉価盤のシリーズで出直したので、購入。録音は1999年ですから、白鳥の歌より7年前。というより、7歳若い、と表現する方がしっくり来るかな。

 以前も書きましたが、ギュラの歌唱は「明晰」という言葉がよく合います。決して怜悧という訳ではない。十分、いや、並以上に抒情的でもある。けれど、やはり、「明晰」という形容は外せない。
 「水車屋」は、抒情的ではあるけれど、ドロドロのロマンティシズムとはちょっと違っています。「冬の旅」や「白鳥の歌」のハイネの詩による歌のような、深い陰翳の、その暗がりの部分を描き出すような面は、あまり無い。水車屋に於いて、陽の光が当たらない部分は無いのではないでしょうか。陰はあるけれど、その陰は、暗がりの奥、引きずり込まれるような翳、闇とは違うような気がします。
 そう、それは最終曲、「小川の子守唄」に至るも変わりません。ここで既に水車屋は小川の底に屍を横たえているのだけれど、それは月明りの下、あくまで慰めとして響くのです。決して救い様の無い、絶対的な負のイメージではない。

 一方で、だから、この歌曲集については、水車屋と同化してしまうような歌い方も出来てしまうのでしょう。どうしようもない暗がりにうっかり入り込んでしまうと抜けられませんから。

 若いギュラの歌唱は、明晰で抒情的。で、恐らくは、適度な距離があるのです。のめり込みはしない。歌としてきちんと表現している。そんな感じでしょうか。たとえばかつてのボストリッジに感じられるような危なっかしさがあまりありません。技巧的に、ということでなく、上手いんですね。
 ギュラの録音は、どれも、某か惹き付けられるものがあります。前にも書いた「歌がよく見える感じ」に起因するのかも知れません。是非一度実演で聞いてみたいものです。



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