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ヴィントガッセン、ワグナーを歌う (1/25)

Wolfgang Windgassen singt Wagner
(Rienzi, Tristan und Isolde, Siegfried, Goetterdaemmerung, Parsifal, Lohengrin, Tannhaeuser, Meistersinger)

 Wolfgang Windgassen(tenor), etc.
 Bamberg Symphoniker, Muenchener Philharmoniker, Radio-Symphonie-Orchester Berlin
 Richard Kraus, Ferdinand Leitner, Leopold Ludwig (conduct)
 Deutsche Grammophon 477 6543

 私が辛うじて間に合ったと言えるヘルデン・テノールは、ルネ・コロくらいでした。
 ワーグナーを歌うテノールは今でも居ますが、本当の意味で「ヘルデン・テノール」と言えるのは、コロくらいです。ジークフリート・イェルザレムには間に合わなかった。ペーター・ホフマンは、すっかりダメになってしまってから、何かで聞く機会があったけれど、かつて誇っていたであろう輝かしい声の片鱗を感じるのも難しい、という状態だった。
 いや、そもそも、私は本当にヘルデン・テノールを聞いたことがあるのかさえ定かではない、というのが正確なのかも。

 とは言え本当は、別段、ワーグナーのテノール役をやれるのは極々限られた人だけか、と言えば、必ずしもそうでもない。「指環」にしても、新国立劇場の「トーキョー・リング」とやらが何か凄いことのように言われるけれど、何、指環のツィクルスなら、二期会が20年くらいかけて、20年近く前に一度完結させてるのです。その完結させた「神々の黄昏」、その後再演成った「ラインの黄金」「ワルキューレ」と見る機会がありました。その頃の二期会は今の水増しとは違って、本当にやっとのことで年3公演くらいやるのが精一杯で、必ずしもレベルが高いとは言えなかったけれども、その分各公演の緊張感は半端じゃなかった。特に、ドイツ物命でやっていた二期会の「指環」に賭ける執念?は凄まじく、必ずしも「トーキョー・リング」なんてものにひけは取らなかった。演出を加えれば、私は二期会の方を取ります。今の二期会は嫌いだけれど、それはそれとして。
 話が逸れましたが、つまりは、二期会でも、歌手だけはぱっとしない新国立劇場でも、一応「指環」にはなる。で、今時、それほど多大な期待は抱けないと知っているから、「このくらい」と思いながら聞いている。

 先週、チェコのブルノ歌劇場の引っ越し公演で、「タンホイザー」を聞いたのですが、まぁ決して悪いテノールではない。一応歌えてる。でも、やっぱり声量不足と言うか、圧倒感が無いよね........でも、これは十分聞けるレベルだし、いいんじゃない?みたいなことを思う訳です。
 そうすると。つい、昔の録音が聞きたくなってしまうのです。圧倒的な歌唱を、やっぱり求めているのです。
 で、ついついこれを引っ張り出してきました。

 ヴォルフガング・ヴィントガッセン。別にこの人が凄く好きという訳ではないけれど、戦後の早い時期のワーグナー歌いの一人であります。この場合そこが大事なわけで。つまり、「こないだ観たタンホイザーが不満だから埋め合わせたい」と思って聞く訳ではないのです。実際、この録音、タンホイザーは、第2幕の最初、エリザベートと久々に再会したところの二重唱しか入ってない。
 不足は不足なのです。ただ、ここで欲しいのは、言ってみれば「ワーグナー濃度」なのですね。ワーグナー濃度が足りない。具体的にどうこうではなくて、もっと濃いのを身体が求めている、というところなのです。ヴィントガッセンについて、ワーグナー濃度は十分です。録音も、1950年代の古いモノラル録音ですが、音質は聞くに堪えるもので、この時期としては十分。

 ヴィントガッセンは古いけれど、決して古臭くはありません。過度にロマンチックに陥らず、声は輝かしい。様式は抑えているけれど、決して「形式的」という意味での「様式的」ではない。それと、発音が綺麗。
 この録音の中では、やはり元々好きな「ローエングリン」の名乗り、がやはりいいですね。決して武張った歌い方ではなく、あくまで柔らかく歌い進めて行って、最後は一点の曇りも無くその高貴なる生まれを高らかに名乗る.............一つの理想型でしょう。
 いや、理想型だから、ということではないのです。そうではなくて、他にも歌い方はあるだろうけど、ただこの一曲のアリア(と言っていいのやら)だけで、ちゃんとそこにローエングリンがいて、舞台が目に浮かぶよう。軍装で正装したローエングリン、その周りを囲む人々、少し離れて項垂れるエルザ....... そんなものを見せてしまう、連想させる力が、ヴィントガッセンの歌にはあるのです。それがワーグナー濃度、と言う説明は不正確かも知れませんが、なんとなく分かって貰えるのではないかと。

 勿論私はヴィントガッセンを生で聞いたことがありません。実際聞いたらどんなだったろうな、と思います。きっと凄かったんだろうな、と。それはもう敵わぬことなので、今の、聞ける演奏家の音楽を聞いている。そのことに不満を言っても詮無いことなのだけど、それはそれとして、聞きたくなってしまうものではあるのです。

 ちなみにもう一曲挙げるとすれば、トリスタンとイゾルデの一節。ヴィントガッセンの、イゾルデの名を呼ぶ声の、なんと官能的な!




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