[ラ・フォル・ジュルネ] シューベルト:ヴァイオリンとピアノの為の幻想曲 (2/2)

F. Schubert : Fantasie C-dur, D.934
J. Brahms : Piano Quartet C-moll, op.60
L. v. Beethoven : Trio D-dur, op.9, no.2

 Jascha Heifetz (vaiolin)
 Brooks Smith, Jacob Lateiner (piano)
 Sanford Schonbach (viola)
 Gregor Piatigorsky (cello)
 BMG classics / RCA 09026 61773 2

 シューベルトのイメージというと、まずは「野ばら」や「魔王」といった歌曲、次は「未完成」や「グレート」といった交響曲、「ます」といった室内楽、ピアノソナタ、そんなところでしょうか。実は、シューベルトは作曲家としてはかなりのオールラウンダーで、ミサ曲も多く作っていますし、マイナーながらオペラも書いています。ベートーヴェンなんかと比べても全く遜色無いのです。ただ、まぁ、多くの作品で、ある種のシューベルトらしさと言うべき刻印が見受けられるというのもありますが....

 シューベルトらしさの刻印、というものがあるとして、その一つは「メロディ」でしょうか。
 とにかく、シューベルトの作品は、どれも印象的なメロディが詰まっているのです。勿論、少なくとも20世紀初めくらいまでなら、どんな作曲家の作品にも、メロディは詰まっています。シューベルトが別格なのは、その質、量、規模が他を圧しているからです。
 まずは質。古典派からロマン派の器楽曲では、主題があって、それを色々に展開していく、というのが最もポピュラーな音楽の作り方になっているのですが、シューベルトの場合、この主題の質が高いのです。具体的には、聞いて魅力的である率が高い。印象に残り易い、いいメロディであることが多いのです。

 量、というのは、この打率が高いのに、多作家であるということ。シューベルトの作品を整理したドイッチュによる番号では、1000番近いところまで番号が付いています。これらの中には、1曲数分の歌曲が沢山含まれていますので - 大体600曲くらい? - 、書いた音符の数はそうは多くないかも知れません。(歌曲集はそれ一つで一つの番号ではあるにせよ)
 けれど、その一曲一曲にメロディを書いている、ということですから、そう考えると随分なことなのです。

 そして、規模。
 器楽曲の場合、主題は後で色々に展開、平たく言えば変奏させるので、あまり長くて込み入ったものだと、展開させにくいという問題が起きます。ところが、シューベルトの書いた主題は、結構長いものが多いのです。まるで、歌曲の詩一連分に作曲するようなメロディだったり。
 でも、これは聞く側からすると、印象に残り易い結果にも繋がります。断片的なメロディは、確かにそれはそれで印象深いものであることもあるけれど、やはりひとまとまりの音楽としてある方が記憶に残り易いしキャッチーな要素も入り易い。あまり長いとそれはそれで問題ですけどね。

 面白いのは、そういうメロディメーカーであるシューベルトが、時に、気に入ったメロディを平気で他の曲に転用したりしていることです。あれだけのメロディを書けたシューベルトですから、思い浮かばなかったというより、むしろ才能があればこそ、自分でも気に入ったメロディであれば、頓着しないで使ったということなのでしょう。
 有名なところでは、ピアノ五重奏曲「ます」。あれは、歌曲「ます」のメロディを使って、楽章を一つ作ったことからその名があります。他にも、劇音楽「ロザムンデ」の中の曲で使ったメロディを基に、弦楽四重奏曲の楽章を一つ拵えたり、即興曲を書いたり。或いは、歌曲「死と乙女」のメロディをそのまま使ってこれまた弦楽四重奏を書いたり。

 このヴァイオリンとピアノの為の幻想曲でも、シューベルトは第3楽章(実はこの楽章だけで全曲の半分弱を占めるのですが)で、自らの歌曲 Sei mir gegruesst、「挨拶をします」のメロディを使って変奏曲を書いています。
 歌曲のメロディが必ずしも器楽曲に合うとは限りません。「楽器」として、それぞれ歌わせ方も異なる以上、あるメロディや、そのメロディの鳴らし方が、他の楽器にとっても同じとは限りませんが、そこは流石にシューベルト。ややゆっくり目でどことなく切なげに歌われる感じのこのメロディを、ヴァイオリンにしっとりと歌わせています。
 いや、本当に、元々この曲の為に書かれたんじゃないの?と思わせるような良質の音楽です。不自然なところは全くなく、ごく自然にヴァイオリンが歌っているのです。メロディというものを良く知る人の強み、なのでしょうか。

 ここでは、ハイフェッツの演奏で。冷たい、とか、そんな風に、あまり良く言われないこともあるヴァイオリニストとですが、どうしてどうして、実に見事な歌をお持ちです。






AUTHOR: mozart1889 URL: http://www.doblog.com/weblog/myblog/41717 DATE: 02/03/2008 07:05:09 これ、懐かしい曲です。
昔々、シュナイダーハンのヴァイオリンで聴いてました。DGの廉価盤、1300円LPでした。ピアノはワルター・クリーンで、この二人、良いコンビだったと思います。
ウィーン風の伸びやかなシューベルトでした。
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