マンロウのリコーダー「名曲集」 (2/3)

愛の笛 デヴィッド・マンロウ/リコーダー名曲集
ファロネルのグラウンド(anonym) / サラバンド、ガヴォットとロンドー風メヌエット(デュパール) / 6羽の鳥の鳴き声(anonym) / ソナタ(ダニエル・パーセル) / スコットランド風ユーモアにもとづくグラウンド(マテイス) / ソナタ(パーチャム) / ソナタ(ヘンデル) / 4つのプレリュード(ペプシェ、ヘンリー・パーセル、ペプシェ、ツィアーニ) / ソナタ(anonym)

 デヴィッド・マンロウ (recorder & flageolet)
 オリヴァー・ブルックス (bass viol & cello)
 ロバート・スペンサー (theorbo & guitar)
 クリストファー・ホグウッド (harpsichord)
 デッカ UCCD-9144

 久々に出して来て聞いてたのですが、実はこの録音未だに書いてなかったことが判明。というか、マンロウ自体あまり取り上げてないんですね、自分。もっとも、去年の秋からマンロウ絡みは3本目なので、よく取り上げてるとも言えるのですが。

 デヴィッド・マンロウ。ロンドン古楽コンソートの創設者の一人で、リコーダー演奏家として、古楽研究者、というより奏者として目覚ましい業績を上げながら、1976年に33歳の若さで早逝。然しながら、その録音はいわば現在の古楽ブームの重要な礎になっている、と言っていいと思います。
 というより、これも何度も言っていることですが、マンロウの古楽演奏には「楽しさ」と「好奇心」が溢れています。これは、今時の、為にする、プロモートされた楽しみ、好奇心とは全く別物。マンロウ自身の「これをやってみたい」という思いが見え隠れするのです。この録音もそんなものの一つ。バロック期のリコーダー曲を集めた録音です。

 原題は The amorous flute だけれど、この録音で取り上げている17世紀から18世紀初めのバロック期には、フルートと言えばリコーダーのことを指していた、とは、このCDのライナーにもある通り。
 で、「リコーダー名曲集」となってはいるのだけれど、名曲とは言ってもここに出て来るのは主にバロック期のイギリス、というよりロンドンで親しまれていたであろうリコーダー曲。なので、知られた名前も存外少なくて、パーセルとヘンデルの名前が見えるだけ。
 けれど、これは面白いのです。リコーダー名曲と言ってバッハか誰かを引っ張って来るのではなくて、当時親しまれていたらしい曲を集めたあたりがマンロウの面目躍如ってところでしょうか。
 つまりですね。今でも、廉価盤のシリーズなんかに必ず「クラシック名曲集」みたいなのがあるじゃないですか。カルメン前奏曲とか、カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲とか、美しく青きドナウとか、スケーターズワルツとか、アルビノーニのアダージョとか、G線上のアリアとか、そういうのとにかく全部一緒にして1枚にしました、みたいなの。最近はもうちょっとスマートにコンセプト化してるみたいですけど。あれの、バロック期ロンドンのリコーダー版をやったわけですよ、マンロウは。言ってみれば。

 いや、本当に、ああいうCDくらい楽しいのです、この録音は。このCD3曲目に、「6羽の鳥の鳴き声」というのがありますが、これがなんとも楽しい。18世紀初めのロンドンで、The Bird Fancyer's Delight という題で出版された曲集からだそうですが、要は鳥の鳴き声の模写なのです。むくどり、森のひばり、カナリア、庭のうそ鳥、東インドのナイチンゲール、むくどりがもう一種。それぞれが1分足らずなのだけど、とてもよく出来てます。勿論、私、この鳥達が本当はどう鳴いてるのかなんて知りませんけど、ああ、そんな鳴き声なんだ、とつい思ってしまいそうなところが楽しい。マンロウは、これをリコーダーの子分みたいな楽器、フラジオレットで演奏しています。リコーダーより高くて、ちょっと重みが無い、つまりは甲高くて軽やかな音。
 勿論、このCD、「ソナタ」とかそういう曲も入ってます。でも、どれも短くて、一番長いのでもヘンデルの書いた8分ほどの曲。イングランドで昔から親しまれているグラウンドと呼ばれる舞曲や、これまたそれぞれ1分ほどの4人の作曲家によるプレリュードなど、そうした曲が多く入ってます。むしろ小品集なのですが、決して単純なものでなく、聞く者を飽きさせません。
 マンロウの録音は、いつもそうです。「聞く者が飽きない」。この、面白さ、楽しさ、好奇心が先に来る、マンロウという演奏家が、私は本当に好きなのです。
 The amorous flute、邦題は「愛の笛」としています。辞書で引くと「色っぽい」「多情な」「なまめかしい」なんて出ていますが、ちょっと用法は違うのだけど、恋する笛、てなニュアンスでどうかな、などと思ったりするのです。



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