シフ/スカルラッティのソナタ集 (2/17)

D.Scarlatti : 12 sonatas (K.162 / 322 / 27 / 96 / 394 / 17 / 420 / 518 / 519 / 208 / 427 / 491)
 Andras Schiff (piano)
 HUNGAROTON Classic HCD11806

 久々に、スカルラッティのソナタを聴いています。
 スカルラッティのソナタも、随分いろんな人の録音を持ってますが、今日は、若き日のアンドラーシュ・シフの録音。1975年、シフの母国・ハンガリーのフンガロトンへ入れたものです。

 シフというピアニストへの評価は、今どんな感じなんでしょうか。ここ数年は目立った新しい録音がありませんが、1990年代にはデッカへのバッハやシューベルトの録音を完成させて、押しも押されぬ大ピアニスト、という風格がありました。
 今年、日本に来るんですよね。以前何度か聞いたことはありますが、やはり何度でも聞いてみたいピアニストの一人です。

 シフのピアノは、何処かに清潔感を漂わせている印象があります。選曲からしてそうなのかも知れません。私の知る限り、シフはロマン派以降の作品をあまり弾いていないようです。バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト。ここまでかな。歌曲の伴奏とかで、シューマンを弾くシフ、というのはイメージ出来るのですが、例えばクライスレリアーナを弾くシフ、というのはちょっと...... シフもショパンくらい弾いてると思うのですが、やはりイメージじゃないですね。
 別にロマン派の音楽が汚いと言ってる訳ではなくて、ただ、ああした音楽に共通して求められるある種の資質、敢えて極端に言ってみれば卑俗で下品なものをそのように、かつ魅力的に描く、という点で、良くも悪くも向いてないのではないかな、という気がします。やって出来ないことは無いだろうけど、彼の音楽性はそこに向いていない、そんな感じじゃないでしょうか。

 実は、ドメニコ・スカルラッティのソナタは、バッハと同じバロック期の音楽でありながら、そうしたロマン派の作品に通ずる部分があるような気がします。モーツァルトの幾つかの曲にも見られるのだけど、俗っぽいけれど楽しい、その楽しさが先に立つ、そんな感じがあるのです。ただ、スカルラッティやモーツァルトでは、その俗っぽさがまだロマン派ほどに直截的でなく、様式的な殻を纏っている。その殻故に崩れて行かずに止まっている。
 まだ若い頃故、ということはあるのかも知れませんが、ここでスカルラッティを弾くシフは、武装を解いているという感じがします。「武装」というのもこれまた妙ですが、自然なのかどうかは分からないけど、構えた感じがしないのですね。
 言い換えると、バッハなどを弾いている時のシフは、何処か気を抜けない感じがあるのです。緊張感というほどではないし、不自然な訳でもないのだけれど、いつのまにか集中力を費やして聞いている、というような。それだけの演奏だからこそ、ということではあるのですが、それにしても。

 シフの弾くスカルラッティには、そういう感じがあまりないのですね。まだ若いから、ということはあるかも知れないけれど、珍しく知情意の情が前に出て来てるような。
 知情意、という言い方で言えば、一般には音楽の場合、知情意の情に重きがあって、知は一番軽い、という風があるように思います。シフの場合、一般的にはこのバランスが上手く取れている。でも、それは、結果的に情が一般より低く、知が重いということになるのかも。
 そのシフが珍しく情を出している。そういうシフが意外で面白いのです。






AUTHOR: preludio DATE: 02/24/2008 23:54:01 スカルラッティ好きです。
バッハより軽くて、弾きやすいし、耳馴染みがいいし。。。
シフの演奏、良さそうですね。
わたしは全曲が欲しかったので、あんまり聞いたことのないピアニストのCDを
安く手に入れました(爆)
スカルラッティは50代後半を過ぎて、ソナタをいっぱい書き残したんですよね。
スゴい作曲家がいたものですねえ。

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