メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 (3/10)

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 ト短調 op.26

 レオニード・コーガン (violin)
 ベルリン放送交響楽団
 ロリン・マゼール (conduct)
 DENON COCO-70843

 もともとそれほどヴァイオリン協奏曲の類いは好んで聞いているとは言えないのですが、それでもコンサートで聞くこともあるし、たまに聞けばいいなと思ったりもするし、時には聞きたくなってCDを出して来ることもあるのです。ま、要はそんな日であった、というわけでして。
 で、ヴァイオリン協奏曲と言えば、やはり王道はこの曲ではないかと。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。

 なんとなく、メンデルスゾーンというと、あまり「大作曲家様」みたいに思われてない節があるような気がします。いい曲は沢山あるんだけど、例えば交響曲なら3・4・5番はどれも結構なものだけど、だからといってメンデルスゾーンが交響曲の第一人者と言われるかというと、そうでもない。無言歌だっていい作品が沢山あるけど、だからといってメンデルスゾーンをピアノ曲の作曲家ベスト3に入れるかというと、多分入れない。ベスト5でも、ちょっと怪しい。曲が悪い訳ではないんですけどね。声楽曲なら、宗教音楽としては「エリヤ」があるけど、これもなぁ。
 そんなメンデルスゾーンが「第一人者」として胸を張ってトップの座に付けそうなのが、ヴァイオリン協奏曲ではないかなと思うのです。

 実際の所、この曲、よく出来てると思います。第1楽章冒頭、いきなり独奏ヴァイオリンが第一主題を弾いてしまう。結構大胆な、見ようによってはギャンブルだと思いますが、これが上手くいっているのは、やはりこの主題がとってもキャッチーだからでしょう。曲名や作曲家の名前を忘れても、この主題を忘れるのはかなり難しい。短調でメランコリック、だけども憂鬱でお先真っ暗というのとも違う。綿々としたメンデルスゾーン、なんてつまらない駄洒落まがいの連想をしてしまいます。
 正直、この曲これが全てとは言わないにしても、半分くらいは「ここ」なんじゃないでしょうか。

 この短調の第1楽章に続く緩徐楽章がハ長調。このコントラストの妙。牧歌的、というのともちょっと違う。安らぎを感じさせる、けれど、例えばマーラーのような病的な感じではない。
 メンデルスゾーンという人は、時期的にも、音楽の造りや何かにしても、明らかにロマン派の人ではあるのですが、何処か古典派的な音楽に通じるものを持っているのかなと思います。それが功を奏するのか、メンデルスゾーンの音楽は「溺れる」ということが無いように思います。これだけ綿々とした音楽を書いていながら、崩れない。これはなかなか不思議なことだと思います。まぁ、見ようによっては、そのへんの御行儀の良さがなんだかな、という方もおられるのかも知れませんが。でも、この辺の魅力が、彼の交響曲なんかにも通じるのかも知れません。

 そして、ヴァイオリンが跳ね回る、終楽章の大団円。やはりよく出来てます。
 長さも大体30分。丁度いい感じなんですよね。ベートーヴェンやブラームスもよく出来てるけど、ちょっと長い。長過ぎる。モーツァルトもいいけど、少し軽くて物足りないかも知れない。ロマン派諸氏の作品は、確かにヴァイオリンにぴったりだけど、それぞれにアクが強くて、つい道を踏み外すというか........ 古典派の清潔感と、ロマン派のメランコリーの魅力とを兼ね備えた、という所でしょうか。

 演奏はレオニード・コーガンの独奏。マゼール指揮ベルリン放送響。録音がいいのです。音がいい、というより、すっきりとした録音で。演奏自体もそうした感じがあります。決して叫ばず、泣かず、ほどよく淡々と、けれど表情はちゃんとある。
 コーガン自体はそれほどに評価の高いヴァイオリニスト、というわけではないと思うのですが、この曲に程良く合う清潔感がいいのです。ハイ。




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