[ラ・フォル・ジュルネ]シューベルト:さすらい人幻想曲 D.760 (4/4)

シューベルト:さすらい人幻想曲 D.760(*)
シューマン:クライスレリアーナ op.16 / 森の情景

 ブルーノ・レオナルド・ゲルバー (*)、ミシェル・ベロフ (piano)
 東芝EMI/新星堂 SAN-49

 また古いCDを持ち出してきました。以前も別の録音を取り上げた、新星堂の廉価盤シリーズです。1992年頃発売のもの。演奏者がゲルバーとベロフ。1970年代の録音で、ベロフもいいのですが、今回はゲルバー。例によって、演奏のセンスはいいのですが、帯の惹句が凄い。今回は「ピアノ......その深遠な響き。」.............いや、だから、どうしろと........

 シューベルトという人は本当にややこしい人で、自分は正統的な作曲家ではない、というコンプレックスを抱いていたらしい、というのは前にも触れたと思います。まぁ、確かに、今から見返してみれば、ロマン派のハシリであったと見えても、それは後からの話。ロマン派の方向へと突っ走って行ったベートーヴェンを後ろから見ながら、さて自分はどうすりゃいいんだと立ちすくんでいたであろう当人にしてみれば、たまったもんではなかったのでしょう。
 シューベルトには、後年であれば「ソナタ」と堂々と書かれたのではないかと思えるような作品に、「幻想曲」といった作品名が付いているケースがままあります。前に取り上げたヴァイオリンとピアノの為の「幻想曲」とか、今は独立した4つの曲で出来ていると見られている「即興曲集」もソナタの一種と看做す向きもあります。そして、この「さすらい人幻想曲」もそう。後のシューマンの「幻想曲」やリストの「ソナタ」にも影響を与えたと言われているらしいこの曲ですが、それらに比べればよほど「ソナタ」らしいとも言えるのに、あくまで「さすらい人幻想曲」なのです。

 曲自体はとても面白い曲です。題名は、第2楽章の主題を取って来た歌曲「さすらい人」に由来するのですが、全体は第1楽章で出て来る主題を全体に渡って繰り返し変奏しながら展開して行く4楽章構成。第1楽章は、ソナタ形式と言えなくもない展開をしつつ、第2楽章で短調に転じて、「さすらい人」の主題を変奏して行く。この2つの楽章の展開は、後のD.800番台以降のソナタに通じるものがあります。第3楽章では、冒頭の主題を使いながらトリオ楽章のように続けて行き、最後はよりスケールの大きなフィナーレへと繋いで行く。
 厳密な意味ではソナタ形式とは言えないであろうこと、全体が「4楽章」とは言いながら切れ目無く続いて行くこと、主題が繰り返し使われる上に、題名の通り歌曲の引用もあることなど、確かに古典的なソナタ、というには抵抗があるのは確かなのですけどね。
 だからといってそんなに遠慮しなくても、という気はします。そのへんがシューベルトらしいと言えばそうなのですが。

 実はこの曲、不思議なことにそれほど聞く機会は多くはありません。やはり「ソナタ」の方がいいんでしょうか。生演奏もそうですが、録音でもあまり多くはありません。ソナタの全集なんかには、即興曲集などと並んで収まるようにはなってますが。シューベルトにしては、比較的簡潔な割にスケールも大きくて、面白い曲なんですが.....ちょっと技巧的と言うか演奏効果が目に付き過ぎて敬遠されるのかな?
 ゲルバーの演奏は、スケールの大きさを上手く活かした演奏で、この曲の良さがよく出ています。私は結構高評価です。



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