シフ:ベートーヴェン ピアノソナタ全集第6巻 (6/13)

L.v.Beethoven : Piano Sonata No.22 F major, op.54 / No.23 f minor, op.57 "Appassionata" / No.24 F-sharp major, "a Therese" / No.25 G major, op.79 / No.26 E-flat major, op.81a "Les Adieux"
 Andras Schiff (piano)
 ECM ECM 1947

 なんだか同じようなものばかり聞いてる気がしないでもないような......ま、いいか。

 この数年で、ベートーヴェンのピアノソナタの全集を録音しているピアニストが実は集中しているのです。良し悪しはそれぞれですが、内田光子がフィリップスに、アンジェラ・ヒューイットがハイペリオンに、そしてアンドラーシュ・シフがECMに。個人的には、最初にがっかりしてしまった(^^;内田光子はちょっとアレですが、ヒューイットはファツィオリのピアノの音もあって、なかなか面白い演奏。そして、シフの堂々たる演奏。

 たまたま今日だか昨日だかの新聞を眺めていたら、このCDの評が出ていました。シフの演奏をTVゲームで次々と難敵をクリアしていくよう、という風に。ふん.......そんな風に感じる人もいるのだねぇ。

 番号順に録音されてきたシフの全集は、既に第6巻を数えるに至りました。今回は番号では22番から26番まで、作品番号ではop.81a まで来ました。ここから先がまた大変で....後6曲、大曲揃いですから。チューリッヒ・トーンハレでのコンサート録音。そういえば、数年前に、以前チケットを買った関係で、このコンサート・ツィクルスのDMが来てましたっけ。そうか、あのツィクルスがこの録音になるのか。

 「堂々たる」と言ったものの、「大家」「巨匠」「ヴィルトゥオーゾ」という演奏ではありません。大体がシフはそういうイメージのある演奏家ではないですし。バッハ、モーツァルト、シューベルト、そうしたところがメインのレパートリーになるピアニストですが、どことなく「アンチ・ヴィルトゥオーゾ」的な演奏です。外連味がなくて、むしろスクェアだけれど、窮屈ではない。プログラミングも結構な内容なのだけれど、「弾きたいものを弾いている」という感じです。でも決して気まぐれだったりはしない。
 演奏自体も、とても確りしたものです。揺らぎや迷いが感じられない。大上段に構えて「かくあれかし」と叫ぶのではないけれど、整然と、こうでこうだからこう、というような組み立てが出来ている。けれど、「理路整然」という風でもないのですよね。

 分かりやすいのが、2曲目の「熱情」。この曲、最近はかなりいろいろに弾かれるようになってしまって、随分とテンポを揺らして、時には性急に畳み掛けるように弾いたかと思うと、今度は思い入れたっぷりに弾いてみせる、なんて人が多いのですが、シフの演奏は極めて堅実。イン・テンポと言ってしまえばそれまでですが、安易にルバートを掛けるようなことをせずに、一定のテンポを堅持する。確かに、ベートーヴェンのソナタは、曲想が如何に激しかろうとも、あくまで古典派のソナタなのですから(後期のソナタ群は微妙な所でもありますが)、同じ楽章の中であまりテンポを変えない方がいいのでしょうし。

 勿論、演奏的に不足はありません。緻密、という感じではないですが、それでも細部までよくコントロールされていて、「あれ?」と思うようなところもない。全体的にも分かりやすい、見通しの利く演奏です。録音だから、という以上に、ちゃんと気配りされている、というところでしょう。
 勿論、それぞれの曲想に合わせた表現もよく練られていますし、構成もきちんと押さえられている。王道を行くが如し、やはり堂々とした演奏、と言っていいのだと思います。




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