デズデーリ&チアーニ:冬の旅 (6/24)

F.Schubert : Winterreise D.911 / Die Schoene Muellerin D.795
 Claudio Desderi (bariton)
 Dino Ciani (piano)
 ISTITUTO DISCOGRAFICO ITALIANO(Dynamic) IDIS 6462/3

 今日は少々風変わりなものを。

 ディーノ・チアーニというピアニストが居ます。居ました。居たそうです。
 1941年生まれのイタリア人。コルトー門下で、1961年にはウィーンでのベートーヴェン・コンペティション、ブダペストでのリスト=バルトーク・コンペティションで成果を挙げ、いよいよキャリアを積み始め、録音も少なからず行われたのですが、1974年に交通事故で亡くなってしまいました。実は相当の実力の持ち主だったようです。今残っている録音を聞いても、癖もあるけど面白い演奏をする人のようです。グラモフォンやDynamicに纏まった録音集があります。
 享年32歳、今生きていれば67歳。確かに惜しいですね。

 一方、クラウディオ・デズデーリ。こちらも、そこそこ知名度はあれど、決して皆様ご存知というわけではないでしょう。イタリアのバリトンで、実はスカラなんかにも出ているけれど、主役級ではない。ドン・ジョヴァンニだったら外題役じゃなくてレポレロ、みたいな人です。こちらは割合最近も歌っている人です。やっぱり癖もあるけど面白い、みたいな人。

 この二人が、チアーニが亡くなる直前に遺した録音があります。正しくはライブ録音なのですが。うん、イタリア特有のちょっと怪しげな......いや、まぁ、一応Dynamicレーベルの一環ではあるんですが。
 歌手とピアニストですから、当然歌物になります。イタリア人歌手にピアニストであれば、ナポリ民謡集かイタリア・オペラアリア集か、はたまたトスティの歌曲か?いえいえ、これが、シューベルトの「冬の旅」なのです。なんでまたよりによって冬の旅。いや別に歌っちゃいけないわけではないんですが、しかし、これが.......

 大体が、デズデーリ、決して緻密なタイプの歌い手ではありません。どちらかといえば大らか。チアーニも、きっちりと音楽を刻んでいくというよりは、フレーズを歌わせるのが得意、それが音楽なんだから、多少の揺れはあるものよ、というタイプ。この二人が組む訳ですから、テンポは揺れる、表現は振幅が大きい、発音も何か変。しかもライブなので抑えも効かないし。今時のドイツリート歌いに慣れた身には、おいおいおいおいと言いたくなるような演奏であります。
 確かに、今のドイツリート歌唱というのは、基本的には端正で丁寧、発音もしっかりして何を歌っているか分かるように、という方向です。非ドイツ人の歌唱でも、発音には気を使っているのが一般的。そもそも、最近のイタリア人歌手で、シューベルト、しかも冬の旅などの歌曲集を歌うような人が居たかな?居ないんじゃないでしょうか。

 というわけで、ちょっと聞くとなんじゃこりゃ?的な、少々破天荒な演奏なのですが、これはこれで面白いのです。自由に、繊細なニュアンス、みたいなところは気にせず歌っていく。でも、無茶かというと決してそうでもない。よくよく聞いてみると、典型的なドイツリートの表現、ではないのだけれど、それなりに表現の方向は曲に合ってはいる。勿論、様式感、という点では厳しいです。でも、これはこれで一応理に適っているのではあります。
 思うに、これは「クラウディオ・デズデーリとディーノ・チアーニの夕べ」というべき演奏なのでしょう。デズデーリを聞くリサイタル。素材がたまたま冬の旅。そう割り切って聞くと、これ、面白いのです。デズデーリの歌唱の雄弁な事!嵐のような伴奏に立ち向かって吠えるが如きデズデーリ。録音も悪いですし、これだけ聞いていると確かにしんどい面もありますが、これを生で聞いていたらさぞや面白かったろうなぁ.....と思わせるのです。

 ちなみにこれは2枚組で、もう1枚は「美しき水車屋の娘」。これも録音悪いんですが同系統の演奏で......面白いです。






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