ホリガー:現代オーボエの領域 (7/9)

現代オーボエの領域
ヴァレッシュ:パッサカリア・コンチェルタンテ オーボエと12の弦楽器の為の
ペンデレツキ:カプリッチョ オーボエと11の弦楽器の為の
イサン・ユン:ピリ オーボエの為の
デニソフ:ソロ オーボエの為の
ホリガー:多重音の為のスタディ オーボエの為の / リート エレクトリック・フルートの為の

 ハインツ・ホリガー (oboe, verstaerkte Floete)
 カメラータ・ベルン
 DENON COCO-70863

 コロンビアミュージックエンタテインメント、昔の日本コロンビアにしてデンオン(DENON。なに?デノン?なんじゃそれは?)が出している廉価盤シリーズが「クレスト1000」シリーズ。まぁ言ってみれば同社の音源蔵出し大セールの類いですが、揃いも揃ったり全400枚に及ぶのだそうです。
 このシリーズが凄いのは、値段も安い(1枚千円+消費税)けれど、失礼ながら弱小レーベルでこれだけの枚数を揃えたこと。結果、他の大手なら名曲シリーズで終わる所が、何やら物凄い幅広いラインナップを取り揃えているのです。結局、いわゆる売れ筋(例えばカラヤン/ベルリン・フィルとか)の名曲シリーズにし切れなかったってことだと思うのですが、それを半ば逆手に取って、あるもの全部このシリーズにつぎ込んだんでしょう。その思いっきりの良さが、結果としてこのシリーズを奥深くしているのです。いや別に私回しもんでもなんでもないんですけどね。

 その中から、これは奥が深いぞという1枚をご紹介。
 ハインツ・ホリガー。オーボエの名手にして、スイスを拠点にベルンやバーゼルなどの団体に関わって来ている音楽家。何より積極的に現代音楽に取り組んで来ているのですが、この録音はそのホリガーの独擅場。ヴェレッシュ、ペンデレツキ、イサン・ユン、デニソフ、そしてホリガー自身の作品が取り上げられていますが、いずれも面白い。
 いかにも「現代音楽」な、「現代的不安を表現」したようなヴェレッシュらのような曲もあれば、「西洋的音楽観から自由に、新たな側面に光を当てた」ようなイサン・ユンのような作品あり、インスタレーションのように音を点々と置くような抽象的なホリガーの作品あり。いかにも「ゲンダイオンガク」的なのですが、演奏がいいので聞けてしまうのです。
 現代音楽はいい演奏で聴け。これ、鉄則です。取っ付きにくいだけに、演奏がよくないと、全然興味を持てなくなってしまう。そういう意味ではとっても厳しい音楽です。まぁ、ウィーン・フィルあたりが演奏したら、音楽の方が位負けして「ウィーン・フィルの演奏」だけが残りました、みたいなケースもありますけどね。
 この録音も十分にいい演奏です。ホリガーの演奏も勿論いいけれど、カメラータ・ベルンの演奏も良くて、ホリガーと四つに組んで緊張感のある演奏を聞かせてくれます。

 何が凄いって、まず、この録音、1974年なのです。結構古い。なのに、DDD、即ちデジタル録音。しかも、録音場所は、日本。武蔵野音大のベートーヴェン・ホール。そう、デンオンが世界に先駆けて実現したデジタル録音、PCM方式の録音なのです。この録音はDENONレーベルへの録音ということ。
 1974年にPCM録音をやってること自体が特筆すべきなのだけど、それでもって、ホリガーを日本に呼んで、こんな選曲で録音させてしまう。デンオン恐るべし。その上、今になって、廉価盤シリーズに惜しげも無くこの録音を忍ばせて、1枚千円で売ってしまう。いやもう、なんというか.......タイトルだけ見たら一番売れない部類のこのCD、しかしながら「ゲンダイオンガクでも聞いてみようか」とつい出来心を起こしてしまった人にはもってこいのいい録音なのです。
 他にも、色々出せる音源は沢山持ってる筈のデンオンですが、にも関わらず400種類もあるからといってこんな録音を出してしまう所が凄い。本当に、この値段だったら、「んじゃ買ってみようか」とつい出来心を起こすこともあり得るかも知れないし。この「取り敢えず出しとけ、出しときゃ誰か聞くだろう」的な出し方に、懐の深さを感じてしまうのです。





スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

verdi

Author:verdi
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2ブックマーク
FC2カウンター
118,000アクセスくらい+
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード