グルジアの歌 (8/15)

グルジアの歌
SEVEN SEAS/キングレコード KICC-5570

 グルジア。紛争というよりもうこれは戦争になってる国であります。あそこが紛争地帯になってしまうには色々な事情 - 民族の事情と国家の事情と - があって、それはそれである面仕方ないのではありますが、しかしそうは言っても実際に紛争・戦争になって、難民が発生する事態に至っているのは事実だし。困ったもんです。困ったもんです、で済めば世界平和は容易いもんでしょうけれど。

 グルジア辺りのコーカサス地方を果たして中央アジアと言っていいのか、問題は残りますが、この辺の地方からキルギスやトルクメニスタンがあるあたりの土地というのに、実に能天気ながら一種の憧れを抱いているのもこれ事実であります。イメージとしては、シルクロードの世界ですね。それに、ボロディンの「中央アジアの草原にて」のイメージが重なっております。でも、実際に自分が行くのは大変そうだから、多分行かない。行かないけど、興味は尽きない。と。こんな感じでしょうか。
 ちなみに、これはもう本格戦争と言うべきチェチェン「紛争」が起きているチェチェンもコーカサス地方の、もっと東の方にあります。そう、こっちの勝手な憧れとは別に、宗教・戦争が入り乱れて、本気の殺し合いになっているのがこの地域の一面でもあります。
 グルジアは、英語表記ではGeorgiaと綴ります。ジョージア、なのです。グルジアの国名の由来は色々あるらしいですが、実はキリスト教主体の国であるグルジアの守護聖人は聖ジョージなんだそうです。グルジアが対ロシア牽制の意味合いがあって、EUやUSAに近づき、或いはNATO加盟を希望したりしているのには、勿論外交上の思惑はあるにせよ、こうした文化背景もあるのでしょう。

 で、そのグルジアの音楽を図書館から借りて来ました。
 収められているのは、労働歌と宗教歌。ほぼ全編無伴奏での重唱。思えば、1967年頃に採録されたものだそうですから、40年前です。当時はソビエト連邦の1共和国として組み込まれていたわけで、それから20年後にソビエトは崩壊し、更に20年、今のような混迷に至る訳ですが、考えてみればソビエト政権下でもちゃんと宗教歌が残っていた訳で、それも立派と言えば立派か。
 ただ、宗教家と言っても、いわゆる聖歌とは似て非なるもののようで、確かにキリスト教信仰はあるんだけど、同時に一種のシャーマニズムにも通ずる慣習も残っているようで、その辺よく分からないんですよね。このCDに付いてる解説も、詳しい所までは書いていないし。

 音楽としては面白いです。合唱、というより重唱によるポリフォニックな音楽というのはあちこちに伝承されていて、ブルガリアの合唱などはその中でもかなりポピュラーになったものの一つですが、グルジアのそれも同様にポリフォニーな重唱が特徴的。取り敢えず聞いた限りでは、発声に特殊特別なものがある、とは思えないですが、旋律や音の造りは独創的というか特徴的と言うか。
 こちらにそういう耳が備わってないのが主たる要因ですが、この種の音楽を聞くと、いつも「何が違うのかよく分からないが、何かとても違って聞こえるのは確かだ」という感じを受けるのです。正直、グルジアの音楽とアゼルバイジャンの音楽とアルメニアの音楽と、それぞれ聞いて、「ああ、確かに違う」とは思えても、それが具体的にどう、と体系的には分からないし、どれがどれ、というのもきっと暫く経つとよく分からなくなるのです。「どれがグルジアだっけ?」みたいな。要は情熱が足りないんでしょうけど....
 まぁそういうことはともかく、この、ひたすら男声だけで延々紡がれて行く音楽、なんとも言えず惹き付けられるものがあります。こちらの音楽的ボキャブラリーというか素養からすると、「これは何でしょう?」となってしまうのですが、「いい/悪い」でなくて、引き込まれてしまうのです。まぁ、物珍しさ、というのはあるんでしょうけれど。

 こういう歌が今もまだ残っているんでしょうか。今も伝承されているとしても、歌い手も戦火に巻き込まれているのでしょうか。或いは難民として逃れているのでしょうか。そんなことを思うのであります。




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