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ラーンキのシューベルト (5/24)

F.シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960
          即興曲 op.90 D.899 第2番 変ホ長調 / 第3番 変ト長調

  デジュ・ラーンキ (piano)
 DENON/コロンビア COCO-70929

 デジュ・ラーンキ。かつてはコチシュ、シフとハンガリー三羽烏なんて呼ばれてたそうで、最近ではラ・フォル・ジュルネにも来たりしてます。まぁ、正直,シフほどの注目度ではないなぁ。ラ・フォル・ジュルネでちょっと聞きましたが、悪くないんですけどね。
 そのラーンキが30年以上前、まだ20代の頃にDENONに入れた録音があります。シューベルト・アルバムみたいなものなんですが、これが、意外と面白いんですよ。1975年、東京、中央会館での録音。中央会館って、初めて知ったのですが、新富町に今でもあるんですね。中央区の施設で,中央会館。なるほど。

 曲目は、ピアノ・ソナタ第21番に、D899の方の即興曲の2,3曲目という組み合わせ。即興曲の方は言ってみればアンコール的な位置付けでしょうか。
 ソナタは、第1楽章の繰り返しを省いた演奏。で、このラーンキの演奏,なんというか、元気がいいというか.......... こちらの思い込みが強過ぎるせいでもあるでしょうが、このソナタ、どうしても沈潜するように聞いてしまうのですね。居住まいを正して、シューベルトの深淵を聞く、というような。
 で、ラーンキ。若き日のラーンキの演奏も、そういう瞬間が無いわけではないんですが、ちょっと傾向が違う。何処となく軽やかというか。それが顕著に出るのが、第2楽章。この楽章、第1楽章よりも更に深くふかーく沈潜するような音楽として弾かれる事が多いのではと思います。ちなみに第1楽章の速度記号はモルト・モデラート、第2楽章はアンダンテ・ソステヌート。で、この第2楽章はABAの形になっていて、通常はやや速めになるにせよ、概ね同じような調子で行くのが一般的なのですが、ラーンキはここを軽やか、とまでは言わないけれど、駆けるように弾き切ってしまうのです。アンダンテがソステヌートしない(笑)
 いや、速度の問題だけでなく、重荷を背負うが如くには行かないんですね。そういう意味では、一貫して、ラーンキの演奏には重苦しい感じがあまりないのです。速度の問題で言うなら、ポリーニの演奏があって、あれは本当に駆け去ってしまうような演奏でありながら、シューベルトの深淵(なんじゃそりゃ、と我ながら思ってしまうけれど)がばっくりと口を開いている。
 ラーンキのシューベルトは、そうではないんですね。必要以上に重くしない。デモーニッシュなシューベルトではあるんだけれど、デモーニッシュなだけではない、と感じさせる演奏です。

 即興曲の選曲も、そういえば、必要以上にドラマチックな選択ではありません。確かに「アンコール・ピース」という観点からすれば自然な選択ではあるんですが、この2曲はいずれもソナタの演奏の延長線上にあります。抒情的、リリカル?それもあるけれど、同時に、このシューベルトはピアニスティックでもあります。確かに、この演奏には、ピアノという楽器を聞く、という面があるのかも知れません。
 この曲でそういうピアニズムを見てしまうというのも異論はあるかも知れませんが、確かにシューベルトのソナタは「ピアノの曲」なのだし、ピアノ曲のみならず歌曲でもあれほどに多彩な音色を駆使したシューベルトが、「ピアノの曲」で「ピアノを聞かせる」ことを拒絶したとも思えないのです。
 今のラーンキに弾かせると、こんな風には弾かないのかも知れません。けれど、若き気鋭のピアニストの演奏の記録としてだけでなく、確かにこの演奏は今聞いてもなかなか面白いのです。


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