セル/クリーヴランド管のシューマン (5/31)

シューマン:交響曲第2番ハ長調 op.61 / 交響曲第4番ニ短調 op.120
  クリーヴランド管弦楽団
  ジョージ・セル (conduct)
 SONY CLASSICAL SRCR9858

 基本的に録音のいいものの方が好きなのですが、セル/クリーヴランド管の録音は、あまり良くはないけれど、昔から好んで聞いています。よくこのコンビの録音はバランスが悪いと盛んに言われますが、どうもピンと来ないんですよね。言いたいことは分かるんだけれど、安物でもそこそこ素性良く鳴るスピーカーを使うと、言うほど気にはならないと思うのです。まぁ、音質の悪さならハンパじゃないのをあれこれ聞いてますからね、こっちは.....

 で、シューマンの交響曲の2番を聞いています。
 正直、シューマンの交響曲はあまり得手ではありません。ある程度弾けちゃうオーケストラが表現豊かに演奏すると、もうそれだけでお腹一杯というか、もういいや、という感じになってくるのです。終楽章を聞く頃には「ところで最初はなんだったっけ?」みたいな感じで。
 これが、セルの手に掛かると、そういう感じではないのですね。
 たとえば、テンポ。第1楽章は、ソステヌート・アッサイの序奏からアレグロ・マ・ノン・トロッポへと変化して行くのですが、この変化が「速い」「速くなった」と感じさせないのです。勿論速くなってはいるのです。ただ、その速さがこれ見よがしではないのです。よくあるタイプは、速度が上がると同時に演奏自体も力が入ってしまって、演奏の質感自体がはっきり変わってしまうのです。聞く側からすれば、「ほら、ね、こっから速いんですよ~いやー参っちゃうよね~ほらほら、大変なんですよ~」とでも言うように聞こえる。
 この感じが、セル/クリーヴランド管には無い。いや、聞いていると,分かるんですが、演奏の質感ががらっと変わるようには聞こえない。それは楽章間でも同じで、全く等質ではないけれど、この曲全体を通して、このコンビの演奏は速度を大きくブレさせることはせず、それに応じて音の質感を変えてしまうこともない。いや、正確には、変わったりはするのですが、やむを得ずがらっと変わるのではない。統制が取れているのです。速度変化自体も、変化はあっても、同じアレグロががらっと変わってしまうのではなく、マ・ノン・トロッポとヴィヴァーチェとモルト・ヴィヴァーチェと、それぞれに過剰でない控え目な、けれど納得の行く変化を聞かせる。
 勿論、こういう所では質感が変わるのが自然だ、と考える向きもあるだろうし、むしろセル/クリーヴランド管のやり方をおかしいと見る見方もあるだろうけれど、やはりこの質感を維持しようとするやり方はある面好ましいと思うのです。それは速度についても同じで、違うのだからはっきり違えるべきと考える向きもあろうけれど、なのです。
 それと、細かい所だけれど、シューマンの作曲上問題と看做されるような所も自然に乗り越えてしまう。例えば、第2楽章の字余りで寸詰まってしまうような所も、このコンビは楽々と処理してしまう。考え方によっては、むしろこういう所で寸詰まってしまうのを、そのまま寸詰まり感をはっきり出すのがいいんだ、となるのでしょうが、セルはそうは考えない。きちんと処理する。音楽として整理する。

 セルの演奏を聞いていて思うのは、やはりこの人は音楽として「ちゃんとする」「整理する」ということに躊躇が無いのだと思うのです。自分なりの基準があって、その基準に照らして如何にあるべきかを打ち出してしまう。
 こういうやり方は、やはり流行らないのでしょう。巨匠的な恣意的な演奏、と言われてしまうのかも知れません。けれど、多分それは二重に違っていて、セルは、この音楽を整理してあるべき姿に整えただけ、なのでしょう。演奏行為とは、音楽を具現化するというのはそういうことなのだ、と言うと思うのです。そして、それは多分演奏家としての普通の行為だ、と思うだろう、という意味で、巨匠的ではないのだろうと思うのです。
 その「ちゃんとした音楽」というアプローチが、存外シューマンなどでは有効なんじゃないだろうか、と思ったりしているのですけれど、どんなもんでしょうね。

 録音は1960年。やはり古いけれど、この録音は比較的いいのではないのかな?このCD自体ももう15年くらい前のものです。結構古いな......勿論廃盤だと思いますが、国内盤か輸入盤か、現役盤はあると思います。
 4番の方は、取り敢えず今日はパス。2番を聞きたかったので、そこまで気が回ってません。ハイ。

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